2008 Fiscal Year Annual Research Report
脂質過酸化物による細胞老化メカニズムと細胞内抗酸化系
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19700605
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
山中 裕佳子 Mukogawa Women's University, 生活環境学部, 助手 (80434934)
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Keywords | 細胞老化 / 脂質過酸化物 / チューブリン / 微小管 / 抗酸化酵素 |
Research Abstract |
リン脂質過酸化物が動物細胞にどのような影響があるかを明らかにすることを目的として細胞, 細胞膜並びに抗酸化系に注目し実験計画を立てた。昨年度はリン脂質過酸化物(PO)を添加した培地で生育したPC12細胞への細胞体・細胞膜およびチューブリン-微小管系への影響を検討し, POのターゲットが微小管であることを明らかにした。そこで本年度は, POが細胞内抗酸化酵素に及ぼす影響について検討した。活性酸素を消去する酵素として, スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)とカタラーゼ(CAT)並びにグルタチオンペルオキシダーゼ(GPH Px)を採りあげた。PO濃度が0, 50, 70, 100μMとなるよう培地に添加して24, 48時間培養し, それぞれの活性を測定した。まずスーパーオキシドを消去するSODの活性はPO50, 70, 100μMで有意に上昇した。過酸化水素を水と酸素に分解する酵素であるCATの活性は, PO濃度依存的に有意に上昇した。過酸化水素を水に還元する他, 過酸化脂質を還元する機能を有した酵素であるGPH Pxの活性も濃度依存的に上昇した。これらの結果を去年の結果と合わせると, POは細胞膜に損傷を与えて, 細胞生育ならびに形態維持に障害をあたえていると考えられた。また, POのターゲットは神経突起に多く存在している微小管であることが確認された。そして細胞内に入った脂質過酸化物が, 細胞内抗酸化酵素を活性化させていることが明らかとなった。最終年度には, DNAへの影響とタンパク合成への影響並びに抗酸化剤の効果について検討する。
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