2009 Fiscal Year Annual Research Report
脂質過酸化物による細胞老化メカニズムと細胞内抗酸化系
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19700605
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
山中 裕佳子 Mukogawa Women's University, 生活環境学部, 助手 (80434934)
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Keywords | 細胞老化 / 脂質過酸化物 / チューブリン / 微小管 / 抗酸化酵素 |
Research Abstract |
リン脂質過酸化物が動物細胞にどのような影響があるかを明らかにすることを目的として細胞、細胞膜並びに抗酸化系に注目し実験計画を立てた。昨年度までの結果ではリン脂質過酸化物(PO)は細胞膜に損傷を与えて、細胞生育ならびに形態維持に傷害を与えていることが考えられた。また、POのターゲットは神経突起に多く存在している微小管であることが確認された。そして細胞内に入った脂質過酸化物が、細胞内抗酸化酵素を活性化させていることが明らかになった。そこで本年度は最終年度であるので、老化予防も考慮して細胞に抗酸化剤を添加することによる影響について検討した。抗酸化剤としては、ケルセチンとエピカテキンとアスタキサンチンの3種類について調べた。POにより劣化させた細胞に抗酸化剤を添加させることによる生細胞数の検討を行った。その結果、POにより劣化していた細胞は抗酸化剤添加により回復していた。次に、POにより劣化させた細胞のGTPase活性を測定した。GTPase活性測定とチューブリンの重合とが連動していることはすでに報告されているため、GTPase活性を測定することはチューブリン機能発現の指標となる。そこでPOで劣化させた後、抗酸化剤を添加した細胞のGTPase活性を測定した結果、ケルセチン・エピカテキン共に濃度依存的に活性の比活性は上昇した。アスタキサンチンは濃度依存的ではなかったが10μMで比活性は上昇した。GTPase活性測定が上昇した結果より、チューブリン-微小管系が回復したことを示唆している。 本年度の結果をまとめると、POによって劣化した細胞への抗酸化剤添加は、細胞の生育阻害を緩和し、その時、チューブリン-微小管系の回復が見られた。この事実は、抗酸化剤の摂取は老化予防に有効であることを示唆するものである。
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