2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19700611
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Research Institution | Hatano Research Institute, Food and Drug Safety Center |
Principal Investigator |
内藤 由紀子 Hatano Research Institute, Food and Drug Safety Center, 毒性部薬理学研究室, 室長 (80426428)
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Keywords | 食品 / 循環器・高血圧 / 薬理学 / 脂質 |
Research Abstract |
これまでに,カノーラ油を摂取した脳卒中易発症高血圧自然発症ラット(SHRSP)では,高血圧関連疾患の進行促進と,心臓および腎臓での炎症が認められることを確認している。そこで本研究では,生活習慣病疾患モデルであるSHRSPにカノーラ油を摂取させ,血圧調節に関わる器官である腎臓に対する影響のメカニズムを解明し,高血圧促進との関連について調べることを目的とした。実験では,無脂肪精製粉末飼料に10%カノーラ油または大豆油を添加し,SHRSPおよび正常血圧Wistar-Kyoto(WKY)ラットに6週間摂取させた。投与期間終了直前に行った腎機能検査では,SHRSPのカノーラ油群の尿量が大豆油群と比較して増加していたが,電解質排泄量やクレアチニンクリアランス等には差が認められなかった。また解剖時に得た血漿を用いて生化学検査を行った結果,両系統ともカノーラ油群で血漿脂質濃度およびアルドステロン濃度が上昇した。腎臓の病理組織学所見は,WKYラシトでは両群間に差が認められなかったが,SHRSPのカノーラ油群では,糸球体硬化,細動脈壁肥厚,好塩基性尿細管が高頻度に観察され,免疫組織染色法により,腎傍糸球体装置のmaculadensa細胞でのCOX-2発現増大が認められたが,腎全体をサンプルとしたWesteroblotting法での検索では差を明らかにすることができなかった。またSHRSPでは,カノーラ油群のe-NOSタンパク発現誘導が認められた。以上のことから、カノーラ油の6週間摂取は,生活習慣病モデルとして使用したSHRSPでもWKYラットでも血漿脂質を増大するが,機能障害をほとんど伴わない腎傷害はSHRSPでのみ認められ,このとき腎臓でのCOX-2およびe-NOSたんぱく発現が増大することが示唆された。
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