2009 Fiscal Year Annual Research Report
高等教育における情報リテラシー格差是正に資する研究
Project/Area Number |
19700613
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
加納 寛子 Yamagata University, 基盤教育院, 准教授 (70369601)
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Keywords | 情報リテラシー / 情報モラル / 情報教育 / 高等教育 / 評価 / 履修 / 学生 / 教育課程 |
Research Abstract |
高等教育における情報リテラシー格差是正に関するアンケート調査を行い、その分析結果より、教える側の知識と専門領域、温度差によって、指導される内容に大きな隔たりがあることがわかった。 高等学校普通科情報が軽視されているという問題だけに留まらず、大学初年度教育の情報リテラシーも軽視されている実態が明らかになった。具体的には、「情報」に関する学部学科、研究科の出身ですか?」と尋ねたところ,Yesが34.3%,Noが65.7%であった.情報基礎教育を担当する教員の6割以上が,大学・大学院いずれにおいても情報に関連のある学科等を経ていなかった。3割強を占める情報に関する学部や大学院を経てきている教員であっても,情報通信技術が専門領域であるなど,情報基礎教育は全く専門としていない可能性もあり,情報基礎教育を専門としている担当教員はどれぐらいいるのか調べた.その結果,専門としている教員は14.4%に過ぎないことがわかった. いくら小説の好きな数学者であっても、数学の専門家が文学の講義を担当することはほとんどあり得ない。専門が近い領域のケースの場合、たとえば、化学が得意な物理の専門家であっても、大学の初年時教育といえど、化学概論などを担当することすらほとんどない。化学概論、物理概論等々、「概論」であれば、誰ども教えられると言えば教えられるだろう。 しかし、その専門家が語る概論と、専門でないものが語る概論では大きな隔たりがある。「情報」関連学部が我が国に誕生して40年が経ち、既に新しい領域ではなくなった。それにもかかわらず、情報リテラシーの大学の講義を、情報を専門としない者が6割以上担当している現状は、とても正常とはいえない。高等教育における情報リテラシー格差是正の為には、「情報」に関連するキャリアを持つ(少なくとも情報リテラシーに関する研究発表等を行っている教員)を、大学の情報リテラシーの初年時教育に配置すべきであることが示唆された。
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Research Products
(8 results)