Research Abstract |
本研究では,理科教員が地域リソースを活用し,自然環境コミュニケーション能力を習得するためのモデル考案に必要な要素について提案することを目的としている。19年度は自然環境コミュニケータが伝えるべき知識・技能,地域リソースの活用の仕方について,国内外にある教育関連施設において調査した。 まず,国内の事例として,兵庫県立人と自然の博物館において展開されている,一般向け自然環境学習セミナーのひとつに参加観察しながら調査を進めた。調査を通して,受講者がセミナーを通して標本作製の仕方や科学的データの取り方と分析方法,発表の技能などを身につけていることが分かった。また,複数の仲間と関わりながら学習を進めるという学習コミュニティーの構築についても明らかにしてきた。これらの内容については,日本科学教育学会年会(於,北海道大学)および,アジア科学教育会議(Conference of Asian Science Education)(於,台湾・高雄)で発表を行った。 次に,地域リソースの活用を進めていくために,小学校教員が博物館等の施設利用についてどのようなニーズをもっているのかを高知県の事例から調査した。この結果,当該施設にある展示内容や施設利用に関する具体的な提示がニーズとして高かった。このことから,理科教員の質的向上を図るためには,地域にある博物館等教育施設の展示や施設について詳細な情報の提供が必要になると推察された。これらの結果は,理科教育学会四国支部大会(於,愛媛大学)において発表を行った。 さらに,海外の事例としてイギリスのフィールド・スタディーズ・カウンシル(FSC)で現地調査し,当機関において教育事業推進の一端を担っているユニットの機能について検討した。また,FSCが実施する教師向けプログラムについて資料収集を行った。 19年度に行った国内外の調査結果から,自然環境コミュニケーション能力を育成するために必要な要素がいくつか抽出された。次年度はこれらの要素が如何に育成できるかについてモデル化を図る。
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