Research Abstract |
本研究では,子ども(小学生)の頃の「家庭教育」と「自然体験」が,成人後の環境配慮行動に及ぼす影響を検討することで,環境教育(主として,家庭での環境教育および小学校における環境教育)のあり方を検討するための資料とすることを目的としている。 岡山市の成人2,000名を対象に,環境配慮行動や子どもの頃の自然体験・家族交流に関する質問紙調査を,岡山市役所との協働で行った。その結果,1,020名から回答を得た(回収率:51.0%)。 本年度は,調査結果に基づき,成人後の(調査時点の)環境配慮行動と子どもの頃の自然体験・家族交流との関係を分析することで,少年期における家庭教育・自然体験が環境配慮行動の形成に及ぼす影響を,量的に検討することを試みた。本調査で尋ねた環境配慮行動の中には,家事を日常的に行っていない者にとっては,回答が困難であるものも含まれていると考えられる。そこで,本研究では,1,020名のうち,家事を行う割合が25%以上であると回答した647名を解析対象とした。 分析の結果,(1)子どもの頃に理科の実験・観察が嫌いだった者には,環境配慮行動の実践度が低いと考えられる者が多いこと,(2)子どもの頃に,家庭で節分・彼岸・節句などの季節の行事があった者には,環境配慮行動の実践度が高いと考えられる者が多いこと,などが明らかとなった。 今後は,環境配慮行動の質的な違い(例えば,ごみ減量行動とグリーン購入の違い)を考慮した分析を行うとともに,子どもの頃の家庭教育・自然体験が環境配慮行動に及ぼす影響の個人差要因を検討する予定である。
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