Research Abstract |
本研究では, 子ども(小学生)の頃の「家庭教育」と「自然体験」が, 成人後の環境配慮行動に及ぼす影響を検討することで, 子どもの頃の環境教育のあり方を検討するための資料とすることを目的としている。本年度は, 岡山県内の大学生797名を対象に実施した質問紙調査の結果を分析した。 成人後の(調査時点の)環境配慮行動と子どもの頃との関係を, 性別の影響を調整して分析した結果, 「家の周りの自然で遊んだか」, 「キャンプに行ったか」, 「理科の実験・観察は好きだったか」, 「家庭で節分・彼岸・節句などの季節の行事はあったか」といった質問に対する回答との間に, 有意な関連が認められた。このことは, これらの子どもの頃の経験が, 環境配慮行動の実践につながっている場合が少なからずあることを示唆している。 性格(生き方)に関する回答を因子分析した結果, 社会活動性因子, 人間関係重視性因子, 義務責任感因子, プラス思考性因子の4因子が抽出された。環境配慮行動と性格との関係を分析した結果, 社会活動性および義務責任感との間には, 有意な正の関連が認められた。このことは, 社会活動性が高い者, 義務責任感が強い者には, 環境配慮行動の実践度が高い者が多いことを意味する。 さらに, 環境配慮行動と子どもの頃および性格(社会活動性および義務責任感)との関連を分析することにより, 子どもの頃が環境配慮行動の実践に及ぼす影響のメカニズムの一端を探ることを試みた。その結果, 「キャンプ」については, 子どもの頃のキャンプの経験が, 成人後の性格を形成し, その性格が行動につながっていることが多いと考えられた。一方で, その他の項目の場合には, 子どもの頃の経験は, 性格の形成を介さずに, 独立に環境配慮行動の実践につながっていることが多いと考えられた。 今後は, インタビュー調査などを行い, 以上述べた成果について確認を行う必要がある。
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