Research Abstract |
本研究の目的は,教職志望学生のためのスタンダードとエビデンスに基づくティーチング・ポートフォリオ・システムを開発することであった。本年度は次の研究を実施した。 1. 国内外の教員養成・教員研修におけるスタンダードに関する情報の収集を継続した。米国で作成されているNCATEやTEAC等の教員養成機関認証のためのスタンダードや日本国内で開発されている教員スタンダード(鳴門教育大,上越教育大,奈良教育大,福島大,横浜国立大等)を収集し分析した。その結果,日本国内の教員スタンダードは,学部4年間や専門職大学院2年間の段階ごとに設定しているもの,養成段階だけではなく研修段階までを包括しているもの,平成22年度入学生から必修の「教職実践演習」を意識しているもの,到達目標に加えてその確認指標も提示しているもの等,各大学で特色あるスタンダードを開発しており,それに対応した教員養成カリキュラムを展開していることがわかった。 2. 教職志望学生の成長のエビデンスとして蓄積可能な要素を抽出するために,信州大学教育学部1年次生「教育臨床基礎」及び3年次生「教育実習事前・事後指導」の受講生から特定の学生を取り上げて,附属学校園における活動や課題意識に関する聞き取り調査を行った。その結果,教職志望学生は,教員養成初期段階から明確な課題意識を持ちながら積極的に臨床経験科目を履修しており,ティーチング・ポートフォリオの作成に加えて,グループ・ディスカッションやオンライン・コメント等の相互評価が重要であり,エビデンスとしての相互評価の記録によりリフレクションを深めることができることがわかった。 3. 本研究課題に関連して,谷塚光典・東原義訓「教育実習Webポートフォリオにみるリフレクションの特質-テキストマイニング手法による教科間の違いの分析-」日本教育工学会第25回全国大会等の研究発表を行った。
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