Research Abstract |
平成15年度の夏に申請者の主研究であった技術経営(MOT)の調査にアメリカ合衆国のボストンに訪問する機会があった。その調査の過程において,ボストンはベンチャービジネスが活発で,そのための教育体系の充実が必要であるということがわかった。 この教育に対する意識と調査の経緯を融合した研究ができないかと思い,平成16年度から平成18年度にかけて,「アントレプレナーシップ育成支援システムの開発」を行ってきた。これは社内発ベンチャーで家具(椅子)をデザイン・製造・販売するという会社の起業を想定し,その起業プロセスにおいて重要な(1)ビジネスプランの作成,(2)椅子のデザイン,(3)資金調達,(4)営業活動というものをモデル化し,それをインターネット技術よりシステム化するというものであった。しかしながら,この教育支援システムは,理論・知識や経営学的手法を「データベース化」することに主眼を置いたため,あくまでもヘルプ機能の側面が強くなってしまった。つまり,専門用語の説明や計算が必要な理論ならば計算の方法を教えるに過ぎず,起業プロセス,理論・知識,経営学的手法の三者の相互関係がどのような形であり,またそれらが会社の業績や管理向上にどの程度影響しているのか,ということまで教えるシステムに至っていない。 このような研究経緯を踏まえ,申請者ははじめに経営学に関する理論,経営手法,そして経営意思決定との相互関係をモデル化する。そして,モデルを通じて理論や手法が他のそれにどのような影響を与えるのか,また企業内外にはどのように影響するのか,ということを視覚的に分析・考察できる教育支援システムを構築する。最終的には大学生・大学院生に実験・実習という形式で実施する。学生はこの教育支援システムを通じて,大学の講義で学んだ知識を活用する場面ができ,そして経営学に関する知識の総合・統合化ができるのではないかと思っている。
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