Research Abstract |
平成19年度では,大学評価情報の有用性に対する認識について,大学評価情報の重要性を認識している大学関係者と高校関係者を対象に調査・分析を行った。両者のよリリアルな認識状態を抽出するため,調査には非構造化面接を軸としたメンタルモデル的アプローチを適用した。メンタルモデルアプローチは,調査者が設定している枠組みに左右されることがなく,被験者独自の枠組みを抽出でき,調査者が事前に想定できない新しい概念を効果的に抽出することができ,被験者のよりリアルなメンタルモデルを構築できる利点がある。調査対象は全国の国公私立の高等学校と大学からランダマイズに抽出し,ヒアリング調査の依頼を行い,調査の承諾を得た高等学校の教員22名と,大学教職員の21名(教員10名,職員11名)であった。調査,分析の結果,両者の認識について大きなギャップが存在するといえた。ギャップは主に以下の点であった。第一に,大学の場についての認識のギャップである。大学関係者は大学を教員が学生の能力を引き上げる教育の場として,教員主導の環境づくりを重要視していたが,高校関係者は大学を学生が切磋琢磨しながら自律的に能力を伸ばす場として,学生主導の場であると考えていた。第二に,大学関係者は教育の効果を効果的に示すためには,就職率や資格取得可能な種類数などの目に見えやすい数値に代表される短期的な教育結果を簡便的に示すことが重要であると認識していた。しかし高校関係者は短期的な結果より,就職してからの活躍や就職してから役に立つ基礎的能力を身につけられる環境について重要視しており,長期的な視野にたった情報を求あていることがわかった。また,平成20年度に実施予定のベイジアンネットワークモデルの構築のために必要なデータを取得するため,大学評価情報の有用性に対する認識について,全国の大学,高等学校を対象に質問紙調査を実施した。
|