2007 Fiscal Year Annual Research Report
東北地方におけるスギ、ヒバの暦年標準パターン延長と古気候復元
Project/Area Number |
19700664
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大山 幹成 Tohoku University, 学術資源研究公開センター, 助教 (00361064)
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Keywords | 年輪年代学 / 年輪気候学 / スギ / ヒバ / クロノロジー |
Research Abstract |
今年度は、研究の初年度として暦年標準パターンの延長のための試料収集とヒバを用いた古気候復元の解析を重点的に行った。 標準パターンの延長については、東京の近世遺跡(弥勒寺跡遺跡、八丁堀三丁目遺跡)の木棺材の試料を収集して、年輪計測を進めた。弥勒寺跡遺跡については55点の試料から9世紀から17世紀に相当する771年のヒノキ属樹木の標準パターンを構築することに成功した。一方、八丁堀三丁目遺跡も計測を終了して、現在解析を進めており、弥勒寺遺跡で構築した標準パターンと各試料のクロスデーティングが可能であることが明らかになりつつある。この成果について来年度学会発表を行う予定である。また、秋田スギの現生材試料についても森林管理署などに保管されている試料の収集、写真撮影を行い、現在得られた画像などの計測作業を進めている。 古気候復元の研究については、青森県内の6箇所から採集した約100点の現生ヒバの年輪幅,最大密度、平均密度を用いた年輪気候学的解析を進めた。その結果,年輪幅,最大密度、平均密度が当年および前年の7-8月の気温に応答していることを見いだした。この結果をもとに、重回帰分析により青森の7-8月の平均気温を復元するモデル式を構築し、過去250年に亘る青森の夏期の気候復元に成功した。この復元結果は、年輪気候学において一般的に用いられる復元能の検証テストをすべてクリアし、かつ過去の文献記録や他の年輪気候学的復元の結果ともよく一致していた。今後、このヒバのクロノロジーを過去に延長するため、試料収集と計測を進めていく予定である。
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