2009 Fiscal Year Annual Research Report
東北地方におけるスギ、ヒバの暦年標準パターン延長と古気候復元
Project/Area Number |
19700664
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大山 幹成 Tohoku University, 学術資源研究公開センター, 助教 (00361064)
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Keywords | 年輪年代学 / 年輪気候学 / スギ / ヒバ / クロノロジー |
Research Abstract |
今年度は、研究の最終年度として引き続き標準年輪曲線延長のための試料収集・計測を行い、平行して、これまで蓄積した現生材のデータの解析から、年輪気候学的手法を用いた東アジア地域の気候場復元の解析を行った。 標準年輪曲線の延長については、ヒバを対象として、青森県下北半島の猿が森埋没林、青森市の新田(1)遺跡などから100点を超える試料を収集し、計測と年輪曲線の構築を行った。さらに、年輪曲線に暦年代を与えるため、一部試料で放射性炭素年代測定を実施した。これらの成果を昨年度までの結果と統合したところ、80点を超える試料から構成され、7世紀~17世紀に相当するヒバの標準年輪曲線の構築に成功した。これは我が国で初めての成果である。一方、スギを対象としては、秋田県内の中世~近世の年輪標準曲線構築を目的として、森吉家ノ前A遺跡、古川堀反遺跡の試料収集と計測を実施した。その結果、前者では、11世紀~14世紀に相当する中世を代表する年輪曲線構築に成功した。また、これは上記ヒバ標準年輪曲線とも高い同調性が認められた。以上の成果により、東日本において、連続的な過去1500年程度の標準年輪曲線構築に目処がたったが、今後、さらに標準曲線にギャップのある時代の試料収集を進める必要がある。 一方、古気候復元の研究では、これまでに地域的な気温復元に成功した年輪試料(秋田、青森など)に韓国のデータを加えて、主成分分析を行い、これら主成分とグリッド気温との間の解析により、東アジア地域の気候場復元を行った。その結果、北緯35゜-40゜、東経125-140゜の3-5月の気温を復元するモデル式構築に成功し、過去210年間のこの地域の気温復元を行った。復元結果は、文献など他の代理データによる復元結果ともよく一致していた。この成果は東アジア地域の年輪気候場復元として初めての成果であり、国際史投稿準備を進めている。
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Research Products
(11 results)