2008 Fiscal Year Annual Research Report
改良型インパクターフィルターによる大気中超微小粒子の分級濃縮捕集と成分組成の評価
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19710003
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
関口 和彦 Saitama University, 大学院・理工学研究科, 助教 (50312921)
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Keywords | 超微小粒子 / 慣性フィルタ / 炭素成分 / PMF解析 / 広域大気観測 / 不均一核形成 / 拡散移流 / 光化学二次生成 |
Research Abstract |
実施した研究概要 本年度は、昨年度評価を行い有効性を確認した超微小粒子(PM_<0.1>)の慣性分級手法であるインパクターフィルター(慣性フィルター)を用い、道路近傍大気観測ならびに関東広域(都市部〜郊外)の各地点における大気観測を夏期、冬期の季節別に行い、広域的な超微小粒子の動態観測を行った。 得られた成果 大気中超微小粒子の主要な成分は、有機炭素(OC)、元素状炭素(EC)といった炭素成分であった。夏季の超微小粒子中のイオン成分では、硫酸イオン(SO_4^<2->)濃度がもっと高くなってなり、光化学生成の影響を示唆するものであった。冬季のバックグラウンド大気中では、夏季のPM_<0.1>中に見られなかった塩素イオン(Cl^<->)や硝酸イオン(NO_3^<->、OC1成分が観測され、これは、冬季は低温であるため、温度依存の高いNH_4NO_3、NH_4Clといった塩類や揮発性のOCが揮発せずにPM_<0.1> 中に含まれていたと考えられ、PM_<2.5>と同様、PM<0.1> においても、気象条件の影響を受けることが明らかとなった。 バックグラウンド大気のEC成分を見たところ、夏季および冬季で季節変動がほとんどなく、バックグラウンド大気中では、ECがPM_<0.1> 中で一様に遍在している可能性が示唆された。また、道路近傍大気とバックグラウンド大気とではEC濃度が異なったが、道路近傍大気では、EC中のEC1成分とEC2成分が同程度、もしくは若干EC2成分の比率が高く、バックグラウンド大気では、EC中のEC1成分の比率が高くなり、特に冬季に顕著であることが確認された。このことから、道路近傍とバックグラウンド大気では、寄与しているEC発生源が異なる可能性が示唆される。なお、PM_<0.1>中の成分に関してPMF解析を行ったところ、ECをEC1成分とEC2成分の別々の因子に分けることができ、UFP成分の指標の1つになり得る可能性が示唆された。
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