2007 Fiscal Year Annual Research Report
大気中における水溶性フミン状有機エアロゾルの高速自動測定法の開発
Project/Area Number |
19710004
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
宮崎 雄三 Hokkaido University, 低温科学研究所, 助教 (60376655)
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Keywords | 大気エアロゾル / 大気組成分析 / 有機炭素 / 環境動態解析 / 水溶性有機エアロゾル / DAX-8 |
Research Abstract |
粒子液化捕集装置によるエアロゾルの捕集と濃縮、及びDAX-8カラムを介した検出器への連続抽出に関する基礎実験と最適化を行った。本研究では湿式酸化法による全有機炭素計について3秒の瞬時値を検出するように検出回路の改造を行い、濃度が5ppm以下では時間応答を3秒で検出しても従来(6分)と比較して測定精度に変わりがないことを確認した。この検出器を用いた測定条件下で、室内実験として親水性有機成分、及びフルボ酸などの疎水性有機成分の標準物質水溶液をDAX-8樹脂カラムに通水し、DAX-8樹脂カラムによる透過・吸着効率を詳細に調べた。その結果、本研究の使用条件下では炭素数4以下の低分子カルボン酸、アミン、糖類などの有機成分はほぼ100%の透過効率で検出され(親水性有機成分)、炭素数5以上のカルボン酸、芳香族炭素、フルボ酸、フミン酸などの相対的に高分子成分は透過効率が0%で本装置では疎水性有機成分に分類されることを確認した。またこれらの実験から本研究の対象成分についてDAX-8は従来型のXAD-8とほぼ同等の吸着特性をもつことが確認できた。 対流圏大気エアロゾルの大きな発生源であるインドの都市部(ニューデリー)で2006年秋季から採取を開始した大気エアロゾルサンプルの水溶性有機成分について、上記で構築した測定装置を用いた化学分析をオフラインで行った。その結果、この地域での秋/冬季における水溶性有機エアロゾルの大部分(70-80%)は疎水性であること、絶対値は冬季の夜間に高くなることなど、インド都市部での水溶性有機エアロゾルの挙動や質量濃度に占める疎水性成分の重要性を明らかにした。
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