2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19710008
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
國頭 恭 Shinshu University, 理学部, 准教授 (90304659)
|
Keywords | 黒ぼく土 / リグニン / 土壌酵素 / リン制限 / 植物リター / 土壌有機物 |
Research Abstract |
信州大学農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センターの西駒ステーションから採取した森林土壌とカラマツ落葉を用い,室内培養実験を行った。窒素を添加すると,セルロース分解に関わるβ-D-グルコシダーゼ活性は増加したが,リグニン分解に関わるポリフェノールオキシダーゼ活性は低下した。なおこの影響は,添加した窒素濃度に依存的であった。また,加熱滅菌と抗生物質の使用により,本実験に供した土壌のβ-D-グルコシダーゼ活性は菌類由来であることが判明したが,ポリフェノールオキシダーゼ活性が細菌あるいは菌類由来であるかどうかは区別できなかった。窒素と共にリンを添加するとポリフェノールオキシダーゼ活性は増加したため,この土壌では,ポリフェノールオキシダーゼを生産する微生物にとっでは,リン制限となっている可能性が示唆された。また滅菌土壌に生土を添加後に培養した土壌の酵素活性を測定することにより,ポリフェノールオキシダーゼを生産する微生物は,β-D-グルコシダーゼを生産する微生物よりも競争に弱く,増殖が抑制されていることが示唆された。本研究で供した森林土壌は黒ぼく土であり,黒ぼく土はリンの固定能が高いことが知られているため,競争力の弱いポリフェノールオキシダーゼを生産する微生物は,特にリンで制限されていることが予想された。以上の結果より,施肥していない森林植生下の黒ぼく土では,窒素流入によって比較的分解されやすいセルロース分解は促進されるが,難分解性のリグニン分解は抑制され,これにより土壌有機物の蓄積量も増加する可能性が考えられた。
|
Research Products
(3 results)