2008 Fiscal Year Annual Research Report
赤外半導体レーザーを用いた安定同位体のリアルタイム計測装置の開発
Project/Area Number |
19710011
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中山 智喜 Nagoya University, 太陽地球環境研究所, 助教 (40377784)
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Keywords | 地球温暖化 / 安定同位体 / 温室効果気体 / 一酸化二窒素 / レーザー分光 / キャビティリングダウン法 |
Research Abstract |
一酸化二窒素(N_2O)は、重要な温室効果気体であり地球温暖化に寄与している。N_2Oの各発生源の寄与を見積もるために大気中N_2Oの同位体分子種(アイソトポマー)比の計測が有効である。従来、安定同位体の分析は主に質量分析法を用いて行われてきた。しかし、装置が大きく、ガスクロマトグラフィーによる分離、CO_2やH_2Oの除去など、煩雑な前処理が必要であるため、装置を持ち運び発生源でリアルタイムに計測することは困難であった。本研究では、半導体レーザーを用いた吸収分光法による温室効果気体の安定同位体のリアルタイム計測装置の開発を行うことを目的とした。平成19年度に連続光キャビティリングダウン分光法を用いたN_2Oアイソトポマーの検出に成功したことから、平成20年度は、N_2O標準ガスを用いた同位体比の計測を行った。アイソトポマー計測には振動回転線、^<15>N^<14>N^<16>O:P(19)遷移(6497.17cm^<-1>)および^<14>N^<15>N^<16>O:R(19)遷移(6459.49cm^<-1>)を用いた。各振動回転線を交互に測定し、アイソトポマー比を測定した。その結果、標準ガス中の^<15>N^<14>N^<16>O/^<14>N^<15>N^<16>O比は、1.0041±0.0051と決定された。また、繰り返し測定を行った結果、アイソトポマー比の測定精度5.1‰が得られた。本研究では、採用した振動回転線の積分吸収断面積を、室内実験により独自に決定することにより、参照ガスを用いない、アイソトポマー比の絶対測定に初めて成功した。N_2Oのアイソトポマー計測については、今後、中赤外領域のレーザー光源や、より反射率の高いミラーを適用することにより、更なる高感度か見込まれ、実大気中のN_2O同位体の計測が可能となると期待される。
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