2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19710015
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
鏡味 麻衣子 Toho University, 理学部, 講師 (20449250)
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Keywords | 印旛沼 / ツボカビ / 菌類 / 微生物 / DGGE / 蛍光染色 / ミジンコ / 珪藻 |
Research Abstract |
植物プランクトンに寄生するツボカビの湖沼物質流での位置づけについて、野外調査、長期データ解析および実験により検討した。野外調査は千葉県、印旛沼において行い、ツボカビと寄主の植物プランクトンの出現パタンを調べた。蛍光染色による顕微鏡観察の結果、春から夏に優先する珪藻Aulacoseira上に寄生性ツボカビが確認され、寄生率は7月に最高の10%に達した。真菌類の18SrRNAをターゲットにしたDGGE法(変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法)のツボカビへの適用可能性について培養しているツボカビを用いて検討した結果、特定のプライマーセットを用いれば可能であることが明らかとなった。改良したDGGE法を用いて湖水中の菌類群集組成について解析した結果、印旛沼の真菌類の中でもツボカビが優占的に出現する事が明らかとなり、珪藻に寄生する種類だけでなく分解性の種も確認された。千葉県が公開している20年間の印旛沼植物プランクトンデータを解析した結果、春と秋には珪藻Aulacoseiraが、夏にはラン藻Microcystisが優占し、定期的な季節変動パタンを繰り返していた。印旛沼は平成21年度CODワースト1を記録し、日本で最も富栄養化の進んだ湖となった。水質を左右する植物プランクトンに寄生するツボカビの存在は今後水質を管理する上でも無視できないと言える。またツボカビを捕食しうるオナガミジンコなど動物プランクトンも多く観察されたため、大型珪藻-ツボカビーオナガミジンコという食物連鎖が存在する可能性が浮かび上がってきた。今後、同位体を行い検証して行く予定である。培養実験により、植物プランクトン体に取り込まれた栄養塩リンの回帰にツボカビとミジンコが果たす役割について検討した。その結果、ツボカビのみ、ミジンコのみの時よりもミジンコとツボカビが一緒の方がリンの回帰効率は有意に高い事が明らかとなった。すなわちミジンコがツボカビを食べることでより植物プランクトンからのリンの回帰が促進されている事が示唆された。
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