Research Abstract |
本研究では,東アジア縁辺海,北太平洋において南北トランセクトで採取されたコアを用いて,コアに含まれる風成塵の供給源と粒径およびそれらの空間分布を検証し,またその時系列変化を復元することで,過去の温暖期における偏西風主軸の変動を調べる。本研究で用いるピストンコア試料は,日本海で採取されたコア試料(MD01-2407,KR07-12PC-5/8etc),北太平洋の南北トランセクトで採取されたコア試料(MR00K05 PL-1, PL-2, MR01K02 PL-1, MR02K03 PL-1, PL-3 etc)である。 具体的な研究計画を以下に示す。 (1) 間氷期(MIS1, 5, 11)における偏西風変動の復元 日本海の堆積物に含まれるシルトサイズ(>4μm)の陸源砕屑物は,そのほとんどが風成塵によって構成されていることが過去の研究で明らかになっている(Nagashimaetal., 2007)。そこでMIS1,5,11に相当するシルトサイズの陸源砕屑物について粒度分析を行う。更にシルトサイズの石英について,電子スピン共鳴(ESR)の測定および結晶化度の測定(XRD分析を用いる)を行い,中国の砂漠の値(Sunetal., 2007)と比較して風成塵の供給源を推定する。風成塵の粒径や供給源が南北でどのように変わるのかを調べ,偏西風の主軸の位置を推定する。北太平洋のコアについても,風成塵が卓越する粒子サイズを調べた後,同様のプロセスから,偏西風の主軸の位置を復元する。 2) 間氷期における東アジアの気候安定性/不安定性の検証 偏西風の主軸の位置とアジア夏季モンスーンの降雨帯とは密接な関係がある。そこで,過去の間氷期における偏西風主軸の位置とその変動を基に,偏西風・アジアモンスーンで特徴づけられる東アジアの気候安定性について議論する。
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