2007 Fiscal Year Annual Research Report
多環芳香族炭化水素とその誘導体の環境汚染実態および毒性影響評価
Project/Area Number |
19710030
|
Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
中尾 晃幸 Setsunan University, 薬学部, 助手 (20288971)
|
Keywords | 多環芳香族炭化水素(PAHs) / メチル化PAHs / ニトロ化PAHs / アリルハイロドロカーボンレセプター / 交差反応性 / 環境大気 |
Research Abstract |
廃棄物焼却施設からの飛灰、排ガスや土壌、環境大気中のダイオキシン類や多環芳香族炭化水素(PAHs)およびそれら誘導体による複合的な汚染実態について調査した。PAHs誘導体とはこれまで報告してきた強変異原物質であるジニトロピレンを代表とするニトロ化PAHsや毒性に関する報告例がほとんど皆無であるアルキル化PAHsのことである。焼却施設排ガス中にはダイオキシン類をはじめとし、種々の有害化学物質が発生していることが確認できた。ニトロ化PAHsでは1-ニトロピレンや6-ニトロクリセンなどが、アルキル化PAHsではメチルクリセンやジメチルベンツピレンなど、生理活性の強い物質が発生していることを明らかにし、ダイオキシン類以外の有害化学物質についても対策を講じる必要性のあることを指摘する結果となった。 一方、近畿地方の環境大気について同様な検討を行ったところ、類似した成分が検出され、焼却施設から大気への汚染経路を示唆する結果となった。汚染濃度はPAHsやアルキル化PAHsについてはほとんど認められなかったが、ニトロ化PAHsでは4倍程度地域差が生じた。ニトロ化PAHsはディーゼル車排ガス粒子から高濃度に検出されたことから、これらの汚染濃度は周辺の交通状況により影響されることが明らかとなった。また、PAHsやPAHs誘導体による汚染傾向は焼却施設排ガス、飛灰および土壌で異なり、排ガスではPAHs>ニトロ化PAHs>>アルキル化PAHs、飛灰ではPAHs>アルキル化PAHs、土壌ではPAHs>>ニトロ化PAHs>アルキル化PAHsと構成比が異なることから汚染源の究明に有用な情報になると推察された。
|
Research Products
(2 results)