Research Abstract |
1つめの研究成果は、高分離能ガスクロマトグラフィー・高分解能マススペクトロメトリー(HRGC-HRMS)および蛍光検出器付高速液体クロマトグラフィー(FL-HPLC)を駆使し、廃棄物焼却施設から排出されるガス中にNO_2-PAHs、NH_2-PAHsおよびAlkyl-PAHsを検出し、環境への負荷量を推定した。また、当大学(大阪府枚方市)で採取した環境大気中に含まれるダイオキシン類、PAHsとその類縁化合物について調査を行った。その結果、ダイオキシン類の濃度は37pg/m^3であるのに対し、PAHsやPAHs類縁化合物のそれは200〜15000pg/m^3と非常に高濃度であることが明らかとなった。また、PAHs、NO_2-PAHsおよびダイオキシン類の特徴的な組成から自動車等の移動発生源あるいは焼却施設等の固定発生源からの汚染程度を把握できることを解明した。 2つめの研究成果として、PAHsやダイオキシン類が毒性を発現するメカニズム上で非常に重要な役割を持つAhレセプターを利用した毒性評価法の開発を行ない、ダイオキシン類とPAHsおよびその類縁化合物の毒性係数の算出に成功した。具体的には7-Methylbenzo[a]pyreneや6-Methylchryseneのようなメチル化PAHsはAhレセプターとの結合能が極めて高く、特に結合能の高いことで知られる2, 3, 7, 8-tetrach lorodibenzo-p-dioxin(2, 3, 7, 8-TCDD)と比較した場合、その相対係数は2, 3, 7, 8-TCDDを1.0とした場合、それぞれ0.37と0.24であった。同様に、ダイオキシン類縁化合物である2, 3-Br, 7, 8-ClDDや3, 4-Br, 3', 4'-C1 biphenylについても、2, 3, 7, 8-TCDDと同等の結合能を示した。ここで、Ahレセプター結合能を使用し、環境大気中に含まれる有害化学物質を2, 3, 7, 8-TCDDの濃度に換算した毒性等価量を試算したところ、PAHsや類縁化合物の毒性換算濃度は極めて高濃度であった。
|