2007 Fiscal Year Annual Research Report
獣害問題における被害意識の多様化プロセスの解明と包括的軋轢軽減モデルの構築
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19710043
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鈴木 克哉 Kyoto University, 霊長類研究所, 教務補佐員 (80447896)
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Keywords | 野生動物管理 / 被害管理 / ヒューマンディメンジョン / 被害意識 / 軋轢管理 |
Research Abstract |
本研究では,日本各地でさまざまな社会的文化的条件のもと発生している獣害問題を対象に,農家の被害意識構造を解明し,それらを地域比較することで食害という生物学的現象に対して地域住民の被害意識が多様化する社会的要因を明らかにすることを目的としている.獣害発生条件の異なる複数地域を対象に地域住民の被害意識構造を把握するためのアンケート調査の分析を行う.当初予定していた調査対象地域は青森県下北半島,鹿児島県屋久島,滋賀県湖北地域,および奈良県と三重県の県境に位置する宇陀市・名張市,福島県西会津町の5地域であったが,このうちH19年度は屋久島と宇陀・名張地域に対して行った第一回アンケート調査結果の分析を行った.この結果,被害対策に関する知識や技術をどれだけ習得しているかという「対策熟達度」の低さ,相談相手・感情共有相手の欠如などといった「疎外感」さらに「行政評価」の低さが顕著にみられ,これらのことが農家の被害対策意欲の低さと関連している可能性が示唆された.今後は「対策意欲」と「被害者意識」などを構成概念とした共分散構造分析い,また獣害発生条件の異なる他地域と比較することによって被害意識形成プロセスの多様化要因を考察する.これらのことが明らかになれば,農家の意識構造に負の影響を与えている社会的要因を,住民への働きかけ(情報提供や協働など)を通じて効率的に解消することができるようになり,H19年度は下北半島,宇陀・名張地域および屋久島を対象として,その準備のための現地調査と今後の活動について関係者との打ち合わせを行った。
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