2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19710044
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
加河 茂美 Kyushu University, 大学院・経済学研究院, 准教授 (20353534)
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Keywords | 産業連関 / 製品寿命 / エネルギー消費 / リバウンド効果 / ガソリン車 |
Research Abstract |
平成20年度に実施した研究では、ワイブル分布関数を用いた乗用車の買い替えモデルと産業連関モデルを用いた社会会計モデルの開発を行い、乗用車の長期使用に伴う消費変動(買替台数の減少、消費のリバウンド)が乗用車製造起源のエネルギー消費量、乗用車使用起源のエネルギー消費量、家計所得にどのような影響を与えるのか分析した。分析の結果、+1年の寿命延長による家計部門の購買力変化によって、固定資本形成、その他消費支出、在庫純増、輸出に伴う誘発1次エネルギー消費量がそれぞれ21049(10^3GJ)、21974(10^3GJ)、53(10^3GJ)、11439(10^3GJ)程度低下した一方で、輸入に伴う誘発1次エネルギー消費量は8913(10^3GJ)分増加した。結果的に、乗用車の+1年寿命延長がこれら5項目の最終需要に伴う誘発1次エネルギーに与えた総影響は、-21049-21974-53-11439+8913=-45602(10^3GJ)として計算することができる。2000年(baseline)における最終需要5項目によって誘発する総1次エネルギー消費量が16349(10^6GJ)であるので、乗用車の+1年寿命延長は総1次エネルギー消費量を約0.28%引き下げる効果があった。この理由の一つは、乗用車の長寿命化が軽乗用車(排気量が660cc以下)、小型乗用車(661-2000cc)から相対的に燃費の悪い普通乗用車(2001cc以上)への乗り替えを抑える方向に働いた結果、ガソリン購入量の低下とそれに付随して家計部門の購買力の低下をもたらしたためである。本研究結果は、例え新車自体の燃費が向上していたとしても、消費者の乗り替え傾向を反映して、乗用車の長期使用よりも乗用車の新規買い替えの方が環境にとって悪いことがあり得ることを経験的に明らかにしている。
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Research Products
(4 results)