2008 Fiscal Year Annual Research Report
DNA二重鎖切断センサー蛋白複合体の試験管内構築と細胞初期応答の解析
Project/Area Number |
19710050
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
加藤 晃弘 Kyoto University, 放射線生物研究センター, 研究員 (70423051)
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Keywords | ゲノム / 放射線 / 核酸 / 蛋白質 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
電離放射線によるDNA二重鎖切断の修復過程における、切断末端の消化による一本鎖DNA領域の形成について調べるため、一本鎖DNA特異的結合タンパク質PRAのクロマチン結合量について解析を行った。γ線照射後、HeLa細胞から核を単離し、クロマチン画分の調整を行い、ウエスタンブロッティング法によりRPAの存在量を検討した結果、γ線照射後、時間を追うごとにRPAのクロマチン結合量が増えることがわかった。同様の結果はMCF7細胞でもみられた。この結果はγ線照射によるDNA切断末端に一本鎖DNA領域が徐々に形成されていくことを示唆している。この末端消化にはヌクレアーゼが関与していると考えられる。酵母では減数分裂期のDNA二重鎖切断末端の消化にMRE11が必要であることが示されているので、ヒト細胞における上記一本鎖DNA領域形成タンパク質の候補としてMRE11が考えられた。MRE11欠損細胞であるATLD2細胞を用いて同様の実験を行ったが、γ線照射後のクロマチンへのRPAの結合に異常は認められなかった。従って、DNA二重鎖切断の末端に一本鎖領域を作るタンパク質は、MRE11以外のヌクレアーゼであるという可能性が示された。一方、MRE11結合タンパク質として知られるNBS1の欠損細胞では、γ線照射後のクロマチンへのRPAの結合量の減少が認められた。この結果からNBS1はMRE11以外のヌクレアーゼと協調して働き切断末端に一本鎖領域を形成するという可能性が示唆された。これまでNBS1はMRE11ヌクレアーゼ複合体の一員として常にMRE11と協調して働くと考えられていたが、本研究の結果から他のヌクレアーゼの活性も調整していることが示唆され、さらにそのヌクレアーゼこそが切断末端のプロセシングを行っているということが示唆された。
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