2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19710051
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤本 浩子 Kyoto University, 放射線生物研究センター, 研究員 (70397553)
|
Keywords | DNA二本鎖切断(DSB) / 相同組換え修復(HR) / NBS1 / ヒト遺伝性疾患ナイミーヘン染色体不安定症候群(NBS) / 細胞周期チェックポイント / 電離放射線応答 / クロマチンリモデリング / 放射線感受性 |
Research Abstract |
本研究はDNA二本鎖切断(DSB)の修復経路の相同組換え修復(HR)に焦点をあて、HR因子のNBS1の機能解明を目指して行った。NBS1は放射線感受性を示すヒト遺伝性疾患ナイミーヘン染色体不安定症候群(NBS)の原因遺伝子でMre11とRad50タンパク質とNMR複合体を形成する。この複合体は酵母から人まで種を超えて保存されており、NBS1欠損細胞においてはHRの頻度が低下していること、細胞周期チェックポイントに異常がることからDSB修復と細胞周期チェックポイントの電離放射線応答に必須因子であると考えられる。しかし、その機能については不明である。そこで本研究は(I)NBS1が作用するHR修復装置の解析。(II)NBS1が作用する新規HR因子の検索と機能解析を行った。 Hela細胞抽出液からのNBS1複合体精製とyeast two-hybrid assayの結果より、(1)NBS1と結合する分子X1を同定した。X1はクロマチンリモデリング複合体の因子として報告されており、現在までDHA二本鎖切断(DSB)の修復への関与は報告されていなかった。NBS1はDNA二本鎖切断(DSB)時、核内においてフォーカスを形成することが知られているので、X1の細胞内局在を免疫染色法を用いて調べた。(2)その結果X1は放射線照射の有無に関わらず、核全体に染色が確認された。(3)分子X1をRNAi法によりノックダウンした細胞の放射線感受性を測定したところ、コントロール細胞と比較して放射線に感受性を示すことがわかった。(4)またX1をノックダウンした細胞においてはDNA損傷の有無に関わらず、ヒストンH4のアセチル化が上昇している可能性が示唆された。(5)さらに放射線照射によるDSB時のX1とNBS1の結合を免疫沈降法により解析した結果、損傷後1時間後に結合が増強し、4時間後には低下することが明らかとなった。以上(1)から(5)に示すように本研究において新規DSB修復因子X1を同定し、一損傷に応答してNBS1との結合を増強することを明らかとした、また近年DNA傷修復とクロマチンリモデリングの関係を示す報告が多く出されており、本研究の成果は非常に興味深いと考えられる。
|