2008 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト細胞を用いたディーゼル排気由来DNA付加体による突然変異の定量的解析
Project/Area Number |
19710058
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
川西 優喜 Osaka Prefecture University, 産学官連携機構, 助教 (70332963)
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Keywords | TLS / DNA複製 / 大気汚染物質 / DNA付加体 / DNA損傷 / 突然変異 |
Research Abstract |
汚染物質の突然変異リスク評価の立場から、実際に環境中に存在する汚染物質が原因のDNA付加体を用いて、それら付加体が変異を誘発する過程を、ヒト細胞を用いて定量的に比較解析する。本課題では様々な大気浮遊粒子状物質由来DNA付加体を部位特異的に1箇所もつプラスミドをそれぞれ作製し、ヒト細胞体で複製させる。複製プラスミドを解析し、TLSの頻度と突然変異パターンを明らかにする。そして、あるDNA付加体がDNA中に1分子存在するときの突然変異誘発率(塩基変化率)を算出し、周辺配列による比較、汚染物質ごとの比較を試みた。 アミノビフェニル-dG付加体を、実際の膀胱癌で見つかるp53遺伝子変異ホットスポットに似せた配列に組み込んだ。そしてヒト培養細胞で複製したところ、変異ホットスポット(codon 248)に組み込んだABP付加体はホットスポットではない配列(codon 249)のものに比べ、有意に高い突然変異率を示した。また、TLS率はcodon 248の方が低かった。付加する場所が変異誘発に影響を与えることが分かった。次に、TLSポリメラーゼの一つであるpolHを過剰発現した細胞で同様の複製実験を行った。その結果、codon 248におけるTLS率は、野性株に比べ低くなり、変異率は上昇した。Codon 249ではTLS率、変異率とも野性株からの変化は無かった。これらの事から、codon 248と249上の付加体は異なるポリメラーゼによりTLSされており、polHはcodon 248上のABP付加体を誤りがちにTLSすることが示唆された。
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Research Products
(5 results)