2007 Fiscal Year Annual Research Report
モエジマシダの重金属土壌浄化システムの分子生物学的解析
Project/Area Number |
19710061
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
畑山 正美 Tohoku University, 大学院・環境科学研究科, 助教 (30447148)
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Keywords | ファイトレメディエーション / ヒ素 / 分子生物学 |
Research Abstract |
近年、ヒ素を高蓄積する植物としてモエジマシダ(Pteris vitatta)が報告され、モエジマシダを用いたファイトレメディエーションが注目されるようになった。本年度は、モエジマシダのヒ素高蓄積性の原因解明に向けて、ヒ酸(As(V))の輸送に関与すると考えられるリン酸輸送体遺伝子を単離、解毒関与するとされるチオール化合物の合成活性の指標となるγ-グルタミルシステイン合成酵素の遺伝子や発現スクリーニングによるヒ素耐性関連酵素遺伝子の取得を行う計画であった。モエジマシダのヒ素の吸収におけるリン酸輸送体の関与を調べるため、リン酸欠乏状態では添加した場合に比べてヒ素の吸収が多いことを確認した。シロイヌナズナではリン酸欠乏状態でリン酸輸送体の発現が誘導されることが報告されており、モエジマシダにおいても関与していることが考えられる。ホモロジークローニングにより、本植物のリン酸輸送体ファミリーPHT1遺伝子の取得を行った結果、2種のリン酸輸送体ホモログ(Pvpht1;1, Pvpht1;2)を取得した。RT-PCR法を用いた転写解析より、PvPht1;1はヒ酸(V)の添加により発現が抑制される一方で、Pvpht1;2は構成的に発現していることが明らかとなった。また、その発現は羽片にほぼ特異的であった。現在、異種発現系を用いた機能解析を行ったところ、Pvpht1;1はコントロールベクターを導入したものに比べ、ヒ素の取り込みが増しPvpht1;1のヒ酸輸送活性が確認された。また、ヒ素を取り込ませたモエジマシダのEXFAS解析の結果、ヒ素は大部分の亜ヒ酸と少量のヒ酸で存在している可能性が示された。そのため、チオール化合物の影響を考慮する必要は無いことが分かった。また、cDNAライブラリーを作製し発現スクリーニングによりヒ素存在下で生育するクローンを単離した。現在解析を行っている。
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Research Products
(1 results)