2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規包摂ホスト分子-金属イオン複合体による人工分解酵素の創製と環境浄化
Project/Area Number |
19710065
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松宮 弘明 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 助教 (10362287)
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Keywords | チアカリックスアレーン / セリウム / 複核錯体 / 界面活性剤 / アドミセル / リン酸エステル / 加水分解 |
Research Abstract |
本研究では、包摂ホスト分子チアカリックスアレーンの金属錯体を基にして新規人工分解酵素を調製し、さらに捕集媒体と複合化することにより、水中の汚染物質を捕集してそのまま分解・無害化できる高効率な環境浄化システムの構築を目的としている。本年度は以下の事項について研究を進めた。 昨年度はチアカリックスアレーンの複核セリウム錯体についてリン酸エステルの加水分解に対する触媒活性を検討したが、今年度は界面活性剤ミセルに錯体を内包して分解反応を更に促進させることを試みた。その結果、微視的疎水場であるミセル内部に基質と錯体の両者が濃縮され、単純な水溶液中に比べて分解反応は更に加速された。また、複核セリウム錯体のフォスファターゼ様活性は汚染物質の分解のみならず、イムノアッセイにおける発色反応にも応用が可能であった。 一方、界面活性剤水溶液中に適当な固相担体を加えると、固相表面に界面活性剤が吸着しアドミセルを形成する。カチオン性界面活性剤とシリカゲルから成るアドミセルの内部には、通常のミセルと同様に水中の疎水性化合物が取り込まれ、さらに液下部から気泡を送り込むと液面上に迅速に浮上・回収された(フローテーション)。フローテーションの効率は試料水の塩濃度に大きく左右された。また、ポリオキシエチレン系非イオン性界面活性剤とポリスチレン粒子から成るアドミセルにはリン酸やヒ酸のヘテロポリ酸化学種が捕集された。 以上、水中の汚染物質を捕集し分解・無害化する環境浄化システムを設計するにあたり、分解速度の更なる向上やフローテーションによる複合材料の効率的回収とその影響因子について、幾つかの有用な知見が得られた。
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Research Products
(5 results)