2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19710066
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
井上 康 Nagoya University, エコトピア科学研究所, 助教 (10293648)
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Keywords | 地下水 / 微生物 / バイオバリア / 透水性 / バイオレメディエーション / 脱塩素化 / 水理学的寿命 / 予測モデル |
Research Abstract |
地下水中の残留有機塩素化合物に対する嫌気的脱塩素化バイオバリアでは、増殖微生物と発生ガスによる間隙の目詰まりを原因とする脱塩素化能の失活、流れの阻害によって、不完全浄化による汚染拡大、地下水位上昇による地盤支持力の低下などを招く恐れがある。バリアには浄化能および通水能の長期的持続が求められ、分解能の評価だけではなく、透水性との関係の定量的評価が重要である。つまり、微生物活動に依存するバリアの透水性低下の限界点、「水理学的寿命」の評価が欠かせない。そこで、バイオバリアにおける透水性変動の予測手法を構築することを目的として、間隙率、透水係数などの水理学的パラメータの微生物反応プロセスに伴う変動性を明らかにし、透水性と微生物輸送を関連づけた推定モデルの構築を行った。 バイオバリアを模擬した、嫌気性微生物群集によるトリクロロフェノールの長期的脱塩素化カラム試験によって、堆積微生物分布および気泡捕捉量分布の計測を行い、透水係数との関係を調べた。脱塩素化活性が定常に至るまでに、透水係数が10^<-4>cm/sまで3オーダーも低減することがわかったが、占有体積では捕捉気泡が堆積微生物よりも20倍以上であったことから、透水性低減には気泡捕捉が支配的要因であることが示唆された。別途、微生物の移動遅延を考慮し、間隙率を変数としたTwo-region, three-site微生物輸送モデルを構築した。気泡捕捉量の推定には、微生物輸送・分布の推定が重要な要素であるが、Two-region, three-site微生物輸送モデルにより微生物の堆積・吸着過程を早いプロセスと遅いプロセスに分けて表現し、微生物分布変動のシミュレーションを可能とした。CXTFITを利用した部分的なパラメータ推定を導入して、モデルパラメータの推定方法を工夫し、Two-region, three-siteモデルで新規導入した吸着サイトの存在比率を表すパラメータの同定を容易に行えるようにした。これにより、バイオバリアの水理学的寿命を評価法構築の基礎が出来た。
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Research Products
(4 results)