2009 Fiscal Year Annual Research Report
水質浄化システム(人工湿地)における糞便性大腸菌群除去効果の解明―原生動物の捕食
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19710069
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
井上 暁子 (小濱 暁子) Tohoku Institute of Technology, 工学部, 准教授 (70337195)
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Keywords | 水質汚濁・浄化 / 微生物 / 水生植物 / 生態工学 / 環境修復 / 湿地 / 大腸菌群 |
Research Abstract |
本研究では、人工湿地を利用した水質浄化システムにおける糞便性大腸菌群の除去機構を、原生動物の捕食効果に着目して明らかにすることを目的とした。 浄化対象は、糞便性大腸菌群の影響があると考えられる宮城県北部に位置する伊豆沼周辺の水鳥給餌池(50m×100m)水とした。池内の経時的な水質および微生物相変化、とくに水鳥飛来の有無による原生動物や糞便性大腸菌相の動態を把握するため、2007年5月から2010年3月まで約2週間に一度、調査を行った。糞便性大腸菌群の排出源になると考えられる水鳥(オナガガモ、ハクチョウ等)の総入込数が約90,000羽であった2007年度は一時的に大腸菌群数の増加がみられたのに対し、総入込数が約15,000羽であった2008年度、2009年度は増加がみられなかったことから、水鳥の入込による大腸菌群数に及ぼす影響が示された。また、オナガガモやハクチョウの糞から大腸菌を分離し、池水中の大腸菌群の由来を確認した。 池水中において観察された原生動物はHalteria sp.、Bursalia sp.など、遊泳性の繊毛虫類が多かったが、出現個体数は年間を通して100cells/mlに満たなかったことから、池水中の大腸菌群数に及ぼす影響は小さい可能性が考えられた。 水生植物(マコモ)の根茎への大腸菌群の付着やマコモが水質に及ぼす影響などを把握するため、屋内および屋外に人工湿地を模した小型の実験装置を設置し、連続または回分実験を行った。連続室内実験において、大腸菌群はマコモ根系付近から多く検出され、栄養塩類の除去効果も示された。また、回分実験において、マコモが存在する系では、マコモがない系よりも原生動物や後生動物といった栄養段階における高次の生物が多く観察され、水生植物の存在により大腸菌群の捕食者が多く保持される可能性が示された。一方、原生動物による糞便性大腸菌の捕食速度を定量的に明らかにすることはできなかった。
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Research Products
(1 results)