2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19710071
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
米田 征司 Kanagawa University, 工学部・電子情報フロンティア学科, 助教 (40343636)
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Keywords | 熱電変換 / 熱電発電 / 熱電材料 / カルコゲン化合物 |
Research Abstract |
高熱電性能を有するAg-Sb-TeおよびPb-Te系熱電材料の複合添加化合物AgPb_<18>SbTe_<20>を取り上げ、ドーパントとしてPbI_2をAgPb_<18>SbTe_<20>に対して添加し、複合組織および比抵抗、熱電能、熱伝導率、性能指数の温度変化に対するPbI_2の添加効果を調べて、高性能化の可能性について検討した。多元素を十分に攪拌するために攪拌溶解ロッキング炉を導入して一方向性凝固法による結晶成長を行い、AgPb_<18>SbTe_<20>インゴットを得た。粉末X線回折装置を使用して格子定数を調べた結果、PbI_2添加のものは、6.451Åであった。無添加のものは、6.443Åであり、格子定数の変化からPbI_2添加による効果が現れたものと考えられた。光学偏光顕微鏡観察システムおよび組成分析装置を用いて、得られた複合組織の分析を行った。100μm程度の析出物がネットワークを組むように全体に分布していた。組成分析の結果からAg,Sb,Te,I元素が析出物周辺よりも濃度が高いことがわかり、AgSbTe_2系化合物であることが推察された。析出物の中にはさらに繊維状組織が1000倍で観察され、Ag元素が多量に存在していた。室温におけるキャリア濃度は2.9×10^<24>m^<-3>と無添加のものよりも約3倍に増加していることから、PbI_2はドーパントとして機能していることが確認された。また、抵抗率は5.49×10^<-5>Ωmと約1/5、移動度では0.039m^2/Vsと1.6倍となっており、電気伝導特性を改善できた。性能指数は約2.4倍に増加させることができ、PbI_2添加による室温における熱電性能改善の有効性を示すことができた。500℃までの性能指数の温度依存性は、すべての温度領域において無添加のものを上回り、Pb_<18>AgSbTe_<20>へのPbI_2添加が性能向上に有望であることを示した。
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Research Products
(3 results)