2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19710079
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
秋田 素子 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 助教 (30370125)
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Keywords | ナノ磁性空間 / 分子性磁性体 / 金属錯体 / 磁場効果 / 水熱合成 / 層状化合物 |
Research Abstract |
強磁性体の内部磁場は非常に大きいため、磁場効果・磁気効果を検討する場として強磁性体内部は非常に魅力的な反応場といえる。本研究の目的は、「構造設計可能な分子性磁性体を用いたナノ磁性空間を構築し、孤立微小空間における新しい磁場特異的反応の探索とその現象解明を行りこと」である。ナノ磁性構造の構築には構造設計生に優れた金属錯体を用いることとし、特に三次元ホストに比べ構造に自由度があり層構造を保ったまま様々なゲストを包接可能な二次元層状化合物を目的化合物とした。磁性体内部における反応として、アミノ酸の光分解反応を用いることを当初の目的とし、現在までにゲスト分子として12種類のL-アミノ酸及び3種類のDL-アミノ酸を用いたコバルト層状水酸化物の合成に成功しており、転移温度約10Kの強磁性体2種、反強磁性体1種、弱強磁性体1種を得ている。これらアミノ酸包接コバルト層状磁性体は粉末X線回折の結果期待される層構造を有し、CD及びMCD共に活性であることが示された。しかしながら単結晶作成が困難であるため本年度はさらにアミノ酸包接コバルト層状磁性体の単結晶作成法の検討を行うとともに、磁性体内部における反応として金属錯体の光異性化を視野に入れ、新規ホスト磁性体として遷移金属リン酸塩、遷移金属硫酸塩の合成を行った。鉄-リン酸塩磁性体では包接能を有する転位温度46Kの3次元弱強磁性体及び転位温度5Kの反強磁性体を単結晶として得、その磁気挙動を明らかにした。アミノ酸を包接した相間距離の異なる一連の層状磁性錯体、特に強磁性体の報告は非常に少なく、本研究において水熱合成法を用いたアミノ酸をゲストとする錯体の構築方法を確立できたことは大きな成果である。また本年度報告した遷移金属リン酸塩ホスト磁性体は構造と磁性に非常にバリエーションがあり、光学測定に不可欠な単結晶作成も比較的容易であり、本研究目的達成に有効な成果を得たと考える。
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Research Products
(3 results)