2008 Fiscal Year Annual Research Report
金属/誘電体極薄膜多層系メタ物質を用いた可視光域でのサブ波長イメージングの実現
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19710081
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
冨田 知志 Nara Institute of Science and Technology, 物質創成科学研究科, 助教 (90360594)
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Keywords | メタマテリアル / ナノ光学 / サブ波長イメージング / 金属誘電体多層薄膜 / 表面プラズモンポラリトン / 全反射減衰法 / 光トンネリング / 光リソグラフィ |
Research Abstract |
本研究は、金属/誘電体極薄膜多層系メタ物質により、可視光域で波長以下の分解能を持つイメージングを実現することを目的としている。このサブ波長イメージングの微視的なメカニズムは、光の共鳴トンネルであると考えられる。本年度は1. 光の共鳴トンネルの実験・計算、2. サブ波長イメージングの原理検証、および3. サブ波長イメージングの実証を行う計画とした。以下に研究実績を記す。 1. アルミニウムと比較するため、銀を用いた金属/誘電体極薄膜多層系メタ物質を作製し、光の共鳴トンネルを調べた。その結果、全反射スペクトルでのディップと光トンネルスペクトルでのピークの位置のズレが、アルミニウムの場合に比べて小さかった。このことから、このズレはメタ物質中の金属の誘電率の虚部に起因すると考えられる。見方を変えると、光の共鳴トンネルスペクトルの測定から、メタ物質中の内因的な損失を見積もることができることが明らかになった。メタ物質での損失はサブ波長イメージングでの分解能に直接影響を及ぼすため、損失を見積もる手法を見出したことは、高分解能イメージングを目指す過程で重要な成果である。 2. イメージングの実証に使用する試料を集束イオンビーム(FIB)加工装置を用いて作製した。具体的にはFIB装置で、まずは銀薄膜に光の波長以下の構造を作製することを試みた。現在のところ波長程度の数百nmレベルの構造を作製することには成功している。今後更に作製条件を詰め、波長以下の構造を作製することを目指す。さらに金属としてはタングステンなどを加工することを目指す。 3. サブ波長イメージングの実証のため、生物試料の時間分解イメージングについて検討を始めた。検討の結果、対象として十nm程度の大きさを持つタンパク質を候補とした。
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