2009 Fiscal Year Annual Research Report
金属/誘電体極薄膜多層系メタ物質を用いた可視光域でのサブ波長イメージングの実現
Project/Area Number |
19710081
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
冨田 知志 Nara Institute of Science and Technology, 物質創成科学研究科, 助教 (90360594)
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Keywords | メタマテリアル / ナノ光学 / サブ波長イメージング / 金属誘電体多層薄膜 / 表面プラズモンポラリトン / 導波モード / 光の共鳴伝送 / 光リソグラフィ |
Research Abstract |
本研究は、金属/誘電体極薄膜多層系メタ物質により、可視光域で波長以下の分解能を持つイメージングを実現することを目的としている。サブ波長イメージングの微視的なメカニズムは、光の共鳴トンネル(RPT)であると考えている。本年度は、1. 光の共鳴伝送の実験・計算、2. サブ波長イメージングの原理検証、3. その実証に関する研究を行った。以下に研究実績を記す。 1. 昨年度までは、金属/誘電体極薄膜多層系メタ物質でのRPTについて調べた。今年度は、銀/ガラス/銀の構造を持つメタ物質に焦点を合わせ、そこでのRPTを含む光の共鳴伝送について調べた。その結果、全反射領域ではRPTを観測した。更に、全反射角以下の伝搬領域においても、光の共鳴伝送を観測した。分散関係や電場強度分布の計算結果から、この共鳴伝送は、二つの銀薄膜界面での表面プラズモンポラリトンの干渉によって生成された特異な導波モード(TM_0モード)を介していることを、突き止めた。このようなモードを介した光の共鳴伝送を観測し、その物理的メカニズムを解明したのは、本研究が初めてである。さらにTM_0モードを用いてエヴァネッセント光を伝搬光に変換することで、サブ波長イメージングを可能にするハイパーレンズが原理的には実現できることを見出した。これらの結果は、現在Physical Review Bに投稿中である。 2. イメージングの原理検証に用いる金属ナノ構造試料を、集束イオンビーム加工装置を用いて作製した。現在、近接場光顕微鏡を用いたサブ波長イメージングの検証実験を進めている。 3. サブ波長イメージングの実証に用いるためのタンパク質の合成を始めた。具体的な対象を、直径20nm程度、長さ300nm程度のチューブ状構造を持つ、タバコモザイクヴィルス外被タンパク質に定めた。現在、プラスミドDNAと大腸菌を用いたタンパク質合成を行い、精製を進めている。
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