2007 Fiscal Year Annual Research Report
2次元フォトニック結晶を用いた量子ドット励起子におけるデコヒーレンスの克服
Project/Area Number |
19710086
|
Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
早瀬 潤子 (伊師 潤子) National Institute of Information and Communications Technology, 第一研究部門・新世代ネットワーク研究センター・光波量子・ミリ波ICTグループ, 特別研究員 (50342746)
|
Keywords | 量子情報 / 量子ドット / フォトニック結晶 / デコヒーレンス |
Research Abstract |
本研究では,量子ドット中の励起子を対象として,2次元フォトニック結晶スラブを利用することで,より長い位相緩和時間とより短い量子演算時間を同時に達成することを目的としている。このような制御を可能にするためには,量子ドット励起子の位相緩和が輻射緩和のみで決定されていることが必要である。しかし多くの量子ドットにおいては,輻射緩和による位相緩和よりも,フォノンとの相互作用による純位相緩和の寄与が支配的となる。我々は,歪補償量子ドットを対象として,ピコ秒四光波混合法及びポンプ-プローブ法を用いることで,位相緩和時間の評価と位相緩和メカニズムの詳細な解析を行ない,温度が8K以下の低温領域においては,位相緩和がほぼ輻射緩和でのみ引き起こされていることを明らかにした。また得られた位相緩和時間が3ナノ秒に及ぶ長いものであることを明らかにした。量子ドットの積層数を150層にすることで,四光波混合信号及びポンプ-プローブ信号を非常に高いS/N比で測定することに成功し,純位相緩和を0.1μeVよりも高い精度で見積もることに成功した。これは純位相緩和のメカニズムを詳細に調べる上で,非常に重要な技術であり,位相緩和の温度依存性からフォノンによる位相緩和のメカニズムを詳細に議論することができた。また量子演算の一つであるラビ振動の観測に成功し,量子演算時間が1THz程度であることを示した。今後はフォトニック結晶を組み合わせた系についても,実験を進めていく予定である。
|