2008 Fiscal Year Annual Research Report
2次元フォトニック結晶を用いた量子ドット励起子におけるデコヒーレンスの克服
Project/Area Number |
19710086
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
早瀬 潤子 (伊師 潤子) The University of Electro-Communications, 先端領域教育研究センター, 特任助教 (50342746)
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Keywords | 量子情報 / 量子ドット / フォトニック結晶 / デコヒーレンス |
Research Abstract |
量子コンピュータとは、量子力学的な重ね合わせ状態を演算単位(量子ビット)として超並列計算を行なう、従来とは全く異なる原理に基づく計算機である。本研究では、量子ビット候補の一つとして期待されている半導体量子ドット中の励起子に着目し、量子コンピュータへの応用上不可欠な条件である、より長い位相緩和時間とより短い量子演算時間を同時に達成する手法を開拓することを目的としている。我々の研究により、歪補償法と呼ばれる特殊な手法で作製したInAs量子ドット中の励起子においては、位相緩和の起源となる非輻射緩和や純位相緩和が著しく抑制されており、位相緩和が輻射緩和でのみ決定されていることがわかった。その結果、量子ドット励起子としては最長の3ナノ秒に及ぶ位相緩和時間を得ることが可能となった。また同じ量子ドットサンプルを用いて、量子演算の一つに対応するラビ振動の観測に成功し、量子演算時間が1THzに達することを明らかにした。ラビ振動に関する理論解析を進め、パルス面積の不均一性を考慮した2準位モデルを用いた理論計算により、フォトンエコー法またはポンププローブ法により得られた全ての実験結果を精度良く再現できることを見出した。この結果から、フォトンエコー法により励起子分極のラビ振動を観測した場合のみ、正負の分極が互いに干渉することでパルス面積のばらつきの効果が低減され、不均一性のある量子ドット集合体を用いた場合でもラビ振動が明瞭に観測されることを明らかにした。
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Research Products
(14 results)