2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規会合性因子を用いたナノゲルの設計、合成、特性評価
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19710089
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
澤田 晋一 Tokyo Medical and Dental University, 生体材料工学研究所, 助教 (50444104)
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Keywords | ナノゲル / 多糖 / イオン性相互作用 / イオンコンプレックス / オリゴペプチド |
Research Abstract |
本研究では、ナノサイズのゲル微粒子(ナノゲル)形成因子としてイオン性相互作用を用いることで、動的に構造制御することができる新規高分子ナノ組織体を創製することを目的とした。水溶性高分子である多糖(プルラン等)に、会合性因子としてイオン性(カチオン性またはアニオン性オリゴペプチド、多価イオン性分子)分子を導入したイオン性分子置換多糖類の設計を行い、合成手法を確立することが出来た。合成したカチオン性分子置換多糖およびアニオン性分子置換多糖水溶液を混合したところ、オリゴペプチド置換多糖、多価カチオン性分子置換多糖ともに比較的単分散なナノサイズ(20〜120nm)の微粒子(イオンコンプレックスナノゲル)を形成することが明らかとなった。このイオンコンプレックスナノゲルはコンプレックス形成時にそれぞれのイオン性基のモル比を変化させていく事で比較的単分散な粒径を保持したまま、ナノゲルの表面電位を制御しえる事が明らかとなった。また、イオンコンプレックスナノゲルの分散液であるバッファーのpHを変化させた結果、pHに依存してイオンコンプレックスナノゲルの粒径が変化することも明らかとなり、pHに応答して構造制御が可能である事が示された。これらの結果からイオン性相互作用を会合因子とし、その構造を動的に制御することができる、新規ナノゲルの開発に成功したといえる。本研究で開発したごくわずかなイオンコンプレックスを会合力としたゲル微粒子の調製に関しては、これまでにほとんど報告されておらず新規性の高いマテリアルであるといえる。また、このイオンコンプレックスナノゲルは、pH・イオン強度等に応答してその構造を変化させうることから、ナノ空間の動的、時間的制御を可能にする新規な会合性因子を有する動的高分子ナノ組織体としてドラッグデリバリーシステムなどメディカル・バイオ分野への応用が期待できる。
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Research Products
(4 results)