2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナノバイオデバイス上固定化タンパク質構造測定法の開発
Project/Area Number |
19710096
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
青柳 里果 Shimane University, 生物資源科学部, 准教授 (20339683)
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Keywords | タンパク質 / 分子認識 / 表面・界面物性 / ナノバイオ |
Research Abstract |
市販されている飛行時間型二次イオン質量分析(TOF-SIMS)装置で使用可能なクラスターイオン源のうち、もっとも巨大なC_<60>^+と従来から用いられているモノアトミックイオンGa^+および近年よく用いられている金クラスターイオン(Au_3^+)それぞれを用いて、同一条件で作製した固定化タンパク質を測定することにより、クラスターイオン源の特徴を明らかにした。具体的には、インジウムースズ酸化物(ITO)コーティングガラスを基板として用い、リゾチウムを共有結合により基板に固定化した試料を評価した。結果として、C_<60>^+を一次イオン源とするTOF-SIMSで測定・解析した結果、Au_3^+およびGa^+で測定した結果よりも、多くのアミノ酸残基が関与する大きなフラグメントイオンが検出された。したがって、C_<60>^+を一次イオン源とする場合は、以前のイオン源を使用した場合よりも、明確に検出部分である最表面部分を明らかにできることが示され、タンパク質の配向や構造変化を詳細に評価できる可能性が示された。ただし、C_<60>^+を一次イオン源とした場合も二次イオン生成時の再結合が避けられず、検出された二次イオンピークには同定できないものも多く含まれた。固定化タンパク質の配向評価は、分子量1万程度の比較的低分子量のタンパク質の場合は、市販されているクラスターイオン源や場合によってはモノアトミックイオンでも可能であることが本研究で示されたが、固定化タンパク質の詳細な構造解析には、従来のクラスターイオンよりもさらにソフトなイオン化が可能なガスクラスターイオンの応用が必要と考えられる。
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