2008 Fiscal Year Annual Research Report
自己組織化ペプチドナノファイバーの微細構造チューニング
Project/Area Number |
19710099
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
古賀 智之 Doshisha University, 理工学部, 准教授 (10388043)
|
Keywords | ナノファイバー / 自己組織化 / ペプチド / ナノ材料 / 高次構造 / ナノ構造制御 / 分子構造 |
Research Abstract |
ナノスケールの構造体を制御して構築する技術は、次世代高機能材料を設計するための必須技術である。本研究では、人工ペプチドの精密設計に基づいて自己組織的に形成されるナノファイバーの微細構造を制御する新しい分子システムの開発を行った。本年度の主たる成果を述べる。 (1) 自己組織化に及ぼす疎水性ドメインの影響を明らかにした。基本となる両親媒性ペプチドL_4K_8L_4のLeuドメインをそれぞれIIe、Val、Phe、Alaに置換したI_4K_8I_4、V_4K_8V_4、F_4K_8F_4、A_4K_8A_4を用いて、水中(pH9付近)での自己集合特性を検討した結果、ナノファイバーの形成・形態が疎水性度に強く依存することを見いだした。特に、疎水性の低いA_4K_8A_4ではファイバー形成は見られず、逆に疎水性が高くπ-π相互作用も働くF_4K_8F_4ではL_4K_8L_4よりも直径が大きいナノファイバーを形成することを明らかにした。 (2) ナノファイバー形成に及ぼす親水性ドメインの影響について、L_4K_8L_4のLysをすべてGluに置換したL_4E_8L_4やKIEの組み合わせ配列に置換したL_4(KE)_4L_4, L_4(K_3E_2K_3)L_4等を用いて検討した。L_4E_8L_4ではpH6付近で、K/E配列ではその組み合わせに応じてpH3-4.5の領域で効率的にナノファイバーに自己組織化することを明らかにした。すなわちペプチドの等電点や静電相互作用のチューニングにより、様々なpH領域での自己組織化を達成した。 (3) 自己組織化ナノファイバーの新しい分子素子となり得る三重らせんフォルダマーの開発にも成功した。 以上、昨年の成果とあわせて、ペプチド構造に由来する(a)疎水性相互作用(b)静電相互作用(c)分岐性(d)キラリティーと自己組織化特性との関連を明らかにし、超分子ナノファイバー設計のための重要かつ新たな指針を提唱することができた。
|