2008 Fiscal Year Annual Research Report
超分子ヘリカルナノファイバーによる一塩基多型解析システムへの応用
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19710104
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Research Institution | National Agricultural Research Organization |
Principal Investigator |
岩浦 里愛 National Agricultural Research Organization, 食品総合研究所・食品分析研究領域, 主任研究員 (00450312)
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Keywords | ナノ材料 / ナノバイオ / 分子認識 / 自己集合 |
Research Abstract |
我々はこれまで、種々の長さをもつDNA(オリゴアデニル酸)と、長鎖オリゴメチレン鎖の両端にチミジル酸を連結したヌクレオチド脂質との二成分系自己集合体が右巻きのらせん構造をもつナノファイバーとなることを見いだし、報告してきた。本課題では、これまでの知見をもとに、鋳型DNAと自己集合性分子から形成される超分子ナノファイバーを検出素子とした、新規な一塩基多型解析システムの開発をめざしている。前年度までに、鋳型のオリゴDNAの長さに依存して、ナノファイバーのピッチや形状が変化することを見いだし報告した。 今年度は、ヌクレオチド脂質とsticky end部位をもつ二種類の鋳型DNA、sticky endと相補的なDNA(ターゲットDNA)による多成分系自己集合を試みた。原子間力顕微鏡観察の結果、ターゲットDNAが存在するときはヘリカルナノファイバー構造が観察できたが、ターゲットDNAが存在しない場合は球状集合体が観察された。すなわち、ナノファイバー形成が、ターゲットDNAにより制御できることがあきらかとり、塩基配列選択的なナノファイバー形成を達成した。 最終的な目標であった一塩基多型検出については、系の最適化が困難であり現在も進行中であるが、上記に述べたように、ターゲットDNAが系中に存在するときのみナノファイバーを与え、この構造を顕微鏡観察により可視化することができたことから、超分子化学とナノテクノロジーを利用した新たなDNA検出手法として応用が期待できる。
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