2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19710105
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
渡邊 宏臣 The Institute of Physical and Chemical Research, 次世代ナノパターニング研究チーム, 研究員 (30373385)
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Keywords | ナノ薄膜 / 熱硬化性樹脂 / 自己支持性 / 機械的強度 / ラジカル重合 / 縮合重合 |
Research Abstract |
本研究は、"自己支持性"を有する機能性ナノ薄膜の作製、およびそのナノ材料としての応用展開、を目的としている。自己支持性(基板を取り除いてもその形態を保つことができること)を有し、かつ膜厚が数ナノ〜数十ナノメートルである超薄膜、すなわち"ナノメンブレン"は、次世代のグリーンプロセスを支える分離プロセスに大きく寄与するものと考えられており、またマイクロ化学プロセスやMEMSに不可欠な機能要素としても重要な役割を果たすことが期待されている。 初年度である今年度は、本コンセプトの基盤となる「大面積ナノメンブレン創製技術の確立」、並びに「ナノメンブレンの物性解析」について、研究を進めた。大面積のナノメンブレンを作製するためには、(i)十分な機械的強度を有する薄膜作製技術の確立ならびに(ii)均一でかつクラックフリー性に富んだ薄膜作製技術の確立が必須である。これを満たす材料として、高架橋の熱硬化性樹脂、単純な有機無機のハイブリッド材料、あるいはビニル系やアクリル系などの重合系樹脂を用い、大面積のナノメンブレンを創製した。このような一般的な樹脂からナノ薄膜作製が行えたことは、本ナノ薄膜創製技術の汎用性の高さを表している。 続いて、これらのナノメンブレンの機械特性を、バルジ法による極限引っ張り強度および曲げ強度測定や、座屈法を用いたヤング率測定といった、ナノ薄膜用に特化した手法により測定したところ、ナノメンブレンのそれはバルクの値とほぼ同じであることが確認された。また電気的特性や化学特性もバルクと同等であったことから、ナノ薄膜の物性は、バルクの特性を保持していると結論づけられる。つまりバルクでの材料設計をそのままナノ薄膜でも転用でき、これは今後の機能性ナノ薄膜創製においてとても有用な結果である。
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Research Products
(9 results)