2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19710105
|
Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
渡邊 宏臣 The Institute of Physical and Chemical Research, 次世代ナノパターニング研究チーム, 研究員 (30373385)
|
Keywords | ナノ薄膜 / 有機無機ハイブリッド / 自己支持性 / フォトニック効果 |
Research Abstract |
本研究は、"自己支持性"を有する機能性ナノ薄膜の作製、1およびそのナノ材料としての応用展開、を目的としている。自己支持性(基板を取り除いてもその形態を保つことができること)を有し、かつ膜厚が数ナノ〜数十ナノメートルである超薄膜、すなわち"ナノメンブレン"は、次世代のグリーンプロセスを支える分離プロセスに大きく寄与するものと考えられており、またマイクロ化学プロセスやMEMSに不可欠な機能要素としても重要な役割を果たすことが期待されている。 二年目である今年度は、昨年に引き続き、本コンセプトの基盤となる「創製技術の確立」を行うと同時に、それを基にした「機能性ナノメンブレンの創製」を行った。これまでは熱硬化性樹脂やラジカル重合性樹脂などの有機材料のみを用いてナノメンブレンを創製していたが、これを無機材料とのハイブリッド化することにより、有機の持つ柔軟さと無機の持つ丈夫さが合わさった強靱なナノ薄膜が創製された。具体的には、エポキシオリゴマーとアミノ基を有したシランカップリング剤からハイブリッド型ナノ薄膜を創製した。このナノ薄膜は、従来のエポキシ単独のナノ薄膜に較べて、3倍の極限引っ張り強度および10倍以上の極限伸びが得られた。 機能化について幾つかの展開を試みたが、この中でユニークなものの一つが、規則的に凹凸や穴のある自己支持性ナノ薄膜である。これは、ナノ薄膜の創製技術とリソグラフィー手法を組み合わせることに得た。具体的正は、光リソグラフィーによりピラー型のパターンを形成し、その表面を鋳型としてナノ薄膜の創製を行った。ピラーパターンの有する1μm程度の規則的な周期構造は、ナノ薄膜でも観察され、そのフォトテック効果による顕著な構造色は、他基板へと張り替えても保持された。この研究は、学術的には形による機能性付与という点で、工業的には張り替え可能なフォトニックフイルムという点で興味深い。
|
Research Products
(6 results)