2008 Fiscal Year Annual Research Report
細胞ゼータ電位を指標にした細胞品質評価デバイスの開発
Project/Area Number |
19710113
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
赤木 貴則 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教 (80401149)
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Keywords | ナノバイオ / マイクロ流体デバイス / 表面処理 / 分化誘導 / 細胞電気泳動度 / 間葉系幹細胞 / ポリジメチルシロキサン(PDMS) / バイオミメティックポリマー |
Research Abstract |
平成20年度には、平成19年度に作製した高精度細胞ゼータ電位測定システムを用いて、幹細胞の評価実験を行い、当該技術の医療応用への有用性について検討した。研究実施計画に記載した造血幹細胞では多数のサンプルの獲得が困難だったため、既に再生医療に応用されているヒト間葉系幹細胞を利用した。本研究では、骨分化誘導の前後の細胞電気泳動度を測定し、電気泳動度を指標にして間葉系幹細胞の骨分化誘導を評価できるか検討した。 PDMS製μCEチップ(W : 100pm、H : 50μm、L : 1cm)はソフトリソグラフィー法で作製し、非特異吸着抑制のために流路表面をMPCポリマーでコーティングした。JCRB細胞バンクより購入したヒト間葉系幹細胞をMSCBM培地(LONZA)で2週間培養を行った後、3週間骨分化誘導培地(LONZA)で培養を行った。回収した細胞をそれぞれPBSに分散させて流路に流し込み、50V/cmの電界を印加し電気泳動実験を行った。 分化誘導前の細胞電気泳動度は-0.5〜-2.2(×10-4cm2V-1s-1)と広く分布したのに対し、分化誘導培地で3週間培養した細胞の電気泳動度は殆どの細胞が-0.5〜-1.0(×10-4cm2V-1s-1)の範囲に分布することが明らかになった。従って、間葉系幹細胞を骨分化するように誘導すると電気泳動度の均一性の高い細胞集団となることが示された。この理由として、ヒトから採取した間葉系幹細胞はヘテロジニアスな集団であり電気泳動度の分布はばらつくが、分化誘導によってホモジニアスな集団と変化し、電気泳動度の分布が均一になったと考えられる。 この機序を証明するには更なる検討が必要であるが、今回の研究により間葉系幹細胞の骨分化誘導時の分化度を細胞電気泳動度を計測することによって評価できる可能性が示された。
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Research Products
(12 results)