2008 Fiscal Year Annual Research Report
DNAの分離分析に及ぼすナノ空間の幾何学的影響の解明
Project/Area Number |
19710115
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加地 範匡 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 助教 (90402479)
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Keywords | ナノバイオ / マイクロ・ナノデバイス / DNA |
Research Abstract |
本年度は次初年度に行ったナノ構造体特有の問題点の解決法とDNAのダイナミクスの検討から得られた知見をもとに、1)DNA分離のためのナノ構造体の最適化と、分離可能な分子量領域を検討し、DNA分離デバイスとして評価を行った。また、2)マイクロチャネル内を仮定して構築した流体力学シミュレーションを用いてナノ空間内の流体力学シミュレーションを行い次実測値との比較から粘性や誘電率といった基礎物性値の比較検討を行った。さらに、3)このデバイスのタンパク質への応用も検討し、ナノピラーチップの解析対象サンプルの拡充を目指した。 1) ナノ構造体の最適化と分離可能な分子量域の検討 初年丼の結果より、ナノピラーの間隔は狭ければ狭いほど、分離能が高くなることが分かっていた。しかしながら間隔が100nmのナノピラーを用いると、DNA分子がナノピラー領域の手前でつまることが多かったため、300nmのものを使用して検討したところ、100bpから48.5kbpのものを分離できることが明らかとなった。さらに、1kbp以下とそれ以上の分子量領域においては、分離能の電場依存性が異なることを見出した。 2) ナノ空間内での粘性や誘電率といった基礎物性値の比較検討 ナノ空間中での電気浸透流の測定結果より、ナノ空間中では水の粘性が上昇して誘電率が下がることを示唆する結果が得られた。これはナノ空間内では比界面積が大きくなるため、溶液中のイオンが壁面に強く引き寄せられることに起因すると考えられた。 3) タンパク質への応用 マイクロチャネル内へのナノピラーの配置により次電気浸透流を抑制することができ、さらに石英表面の電荷によりSDS変性タンパク質の吸着を効果的に抑制することが出来たため、数kDaから100kDa程度の分子量を有するタンパク質の分離に成功した。
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Research Products
(9 results)