2008 Fiscal Year Annual Research Report
バリアメタルの陽極酸化過程を用いた位置制御室温動作単電子トランジスタの作製
Project/Area Number |
19710118
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
木村 康男 Tohoku University, 電気通信研究所, 助教 (40312673)
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Keywords | 単電子 / 自己組織化 / 陽極酸化 / ナノチューブ / ナノドット |
Research Abstract |
本年度の研究では、Alマイクロワイヤの陽極酸化過程がその断面構造によってどのような影響を受けるのかを電界放出型走査型電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて調べた。その結果、陽極酸化過程におけるストレスの蓄積のため、Alマイクロワイヤの陽極酸化過程が、その断面構造に強く影響されることがわかった。この結果は、Alマイクロワイヤの断面構造を制御することにより、陽極酸化過程を制御でき、ナノドット及びナノギャップを同時に作製することが可能であることを示している。実際に、Alマイクロワイヤの断面のアスペクト比を制御し、それを陽極酸化することによってAlナノドット及びナノギャップを同時に作製した。その結果、断面が三角形の場合や、偏平な台形の場合には、量子的なI-V特性は見られなかった。しかしながら、その中間の場合には、階段状のI-V特性が現れた。この場合の陽極酸化は、他の場合と異なり、垂直方向に陽極酸化が進行しており、この垂直方向の陽極酸化がAlナノドットの形成に重要な役割を果たしていることがわかった。さらに、ゲート電極を付加して、室温及び80℃もの高温においてクーロン振動及びクーロンダイアモンドの観測に成功した。 室温動作可能かつ集積化可能なSETを作製するためには、数nmのナノドットをソース電極及びドレイン電極の間にナノギャップを介して形成しなければならない。そのためには、ナノドット及びソース、ドレイン電極を自己組織的に作製する必要があるが、本研究の結果は、フォトリソグラフィ技術と陽極酸化過程を組み合わせた新しいプロセスがSETを作製するための有力なプロセスであることを強く示唆している。
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