2008 Fiscal Year Annual Research Report
ソーシャル・キャピタルがまちづくり活動を活性化する条件に関する実証的研究
Project/Area Number |
19710122
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
金井 雅之 Yamagata University, 地域教育文化学部, 准教授 (60333944)
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Keywords | 社会関係資本 / まちづくり / 社会ネットワーク / 社会的ジレンマ / 評判 |
Research Abstract |
本研究では, 地域におけるソーシャル・キャピタル(社会関係資本)の蓄積が合理的な諸個人の行動にどのように影響し, 結果としてまちづくり活動の活性化という効果をもたらすのか, を明らかにすることにより, まちづくり活動を促進するための政策的指針を得ることを目標としている. 本年度はまず, 昨年度取り組んだ温泉観光地のまちづくりに関する比較調査データの計量的分析を引き続きおこなった. その結果, 温泉観光地のまちづくりを, (1)何も活動が行われていない段階, (2)活動が始まった段階, (3)活動が成熟しある程度の成果が見え始めた段階, の3つに分けたときに, (1)から(2)への移行には結束(bonding)型の, (2)から(3)への移行には橋渡し(bridging)型のソーシャル・キャピタルが効果を持つことが明らかになった. これは, まちづくり活動においてこれら2つの類型のソーシャル・キャピタルが, どちらかだけが重要ということではなく, 段階に応じて相互に補い合いながらともに有用性を持つことを意味している. これらの研究成果は, 雑誌論文や国内外の学会等において発表した. また本年度は, 温泉観光地を含む一定地域の全住民を母集団とする無作為抽出質問紙調査を実施した, 対象者は山形県米沢市三沢地区に在住する20〜74歳の男女, 計画標本は350名で, 2008年9月1〜6日に学生調査員による訪問留置調査として実施した. 有効回収数は289名(有効回収率82.6%)であった. 分析は現在継続中であるが, 観光関係者と一般住民では観光や地域づくりへの意識や価値観が有意に異なり, その一部分が居住歴の差(大学進学等で一旦地域外に出る経験をしているかどうか)とそれによるネットワークの差によって説明できることが明らかになっている. なお調査結果の概要は, 「米沢市三沢地区の地域づくりに関する学術調査報告書」として公表した.
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Research Products
(7 results)