2009 Fiscal Year Annual Research Report
ソーシャル・キャピタルがまちづくり活動を活性化する条件に関する実証的研究
Project/Area Number |
19710122
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
金井 雅之 Yamagata University, 地域教育文化学部, 准教授 (60333944)
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Keywords | 社会関係資本 / まちづくり / 社会ネットワーク / 社会的ジレンマ |
Research Abstract |
本研究では,地域におけるソーシャル・キャピタル(社会関係資本)の蓄積が合理的な諸個人の行動にどのように影響し,結果としてまちづくり活動の活性化という効果をもたらすのか,を明らかにすることにより,まちづくり活動を促進するための政策的指針を得ることを目標としている. 本年度はまず,研究期間を通じて取り組んできた温泉観光地のまちづくりに関する比較調査データの計量的分析を完成させ,理論的・実践的結論を導出することに成功した.具体的には,昨年度明らかにしたまちづくりの発展段階とソーシャル・キャピタルとの対応関係をもとに,行為者は地域にすでに存在するソーシャル・キャピタルを利用して合理的な行為をおこなっているという仮説と,行為者の合理的な行為の蓄積として地域のソーシャル・キャピタルが生成されるという仮説のどちらがよりデータによって支持されるかを検討した.その結果,前者の仮説が妥当であることが一貫して確認された.ここから導かれる実践的な含意は,まちづくり活動を促進するためにはソーシャル・キャピタルが不可欠であるが,そのソーシャル・キャピタルは個々の行為者の合理性から自然に生じてくることはないこと,したがってそれを生み出すためには何らかの形での人為的・政策的な介入が不可欠であることである.この研究成果は査読付き雑誌論文で公表するとともに,研究期間終了後の国際学会でも発表する予定である. さらに本年度は,昨年度実施した山形県米沢市三沢地区の住民を対象とする質問紙調査の報告書と基礎集計表を公刊するとともに,新たに山形県民全体を母集団とする無作為抽出質問紙調査を実施した.対象者は山形県に在住する20~69歳の男女,計画標本は599名で,2009年7月9日~9月18日に郵送調査として実施した.有効回収数は415名(有効回収率69.3%)であった.この調査の結果も,年度内に報告書として公刊した.
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