2007 Fiscal Year Annual Research Report
後処理時間と待ち合わせ放棄時間分布を考慮した大規模コールセンターの性能解析の研究
Project/Area Number |
19710123
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
河西 憲一 Gunma University, 大学院・工学研究科, 准教授 (50334131)
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Keywords | 待ち行列 / コールセンター / 性能解析 / 行列解析手法 / マルコフ連鎖 |
Research Abstract |
本研究課題では、コールセンター、特に大規模なコールセンター(数百人規模のエージェントが存在する場合)の性能評価指標(平均応答時間、応答時間の分布、待ち率、待ち合わせ放棄率、話中遭遇率、エージェントの稼働率etc.)を近似的にせよ実用上許容されるような精度範囲で定量化することを目的とした。コールセンターの性能解析手法は、いわゆるアーランの損失式(Erlang-B公式)や、アーランの待ち合わせ評価式(Erlang-C公式)を用いる手法が適用されてきたが、現実のコールセンターは、(1)待時式、(2)有限サイズのシステム容量(同時に接続できる客数)、(3)エージェントが従事する後処理業務、(4)客の待ち合わせ放棄、が特徴として挙げられ、アーランの損失式やアーランの待ち合わせ評価式では現実のコールセンターの特徴を十分に捉えきれない。(1)から(4)までの特徴を捉えるため、本研究では推移速度行列がブロック三重対角構造を持つ連続時間マルコフ連鎖を適用することで近似的に表現し、数値的に性能評価指標の定量化を試みた。本手法は、マルコフ連鎖を表現する推移速度行列のサイズがシステム容量に対して指数関数的に増大することなく、かつ客の待ち合わせ放棄時間分布に対して指数分布やアーラン分布などの相型分布を特に仮定せず、一般分布を近似的に扱える点に特徴を有する。計算機シミュレーションとの比較により、本手法の近似精度について検証したところ、客の待ち合わせ放棄時間が大きく変動しなければ良好な近似精度が得られることが判明した。また変動が大きい場合については、システム容量を大きくするとエージェントの後処理業務に従事する時間が性能評価指標にあまり影響を与えず、後処理業務を積極的にモデル化することはそれほど重要ではないとの知見が得られた。
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