2010 Fiscal Year Annual Research Report
リスク最小化に基づく非凸型識別手法の開発と与信審査・医療診断問題への実証的適用
Project/Area Number |
19710124
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
武田 朗子 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (80361799)
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Keywords | サポートベクターマシーン / 分類問題 / 数理最適化 / リスク尺度 / conditional value-at-risk / ロバスト最適化 |
Research Abstract |
サポートベクターマシーン(Support Vector Machine : SVM)は、あらかじめ分類されたデータに基づいて分類ルールを学習し、そのルールを適用して新たなデータを分類する手法であり、現実の問題への応用において優れた性能を持つことが報告されている。本研究課題を通して、統計的学習分野で研究が進められているSVMに対して数理最適化の知見を生かした研究を行なっている。 今年度は、昨年度までの課題研究より得られた知見「CVaR(conditional value-at-risk)よりもVaR(value-at-risk)リスク尺度を最小にする方が、理論上は予測精度の高い結果が得られる」を用いて、VaR最小化に基づく分類モデルの構築を行なった。具体的には、下記の項目について研究を行った。 1.VaR最小化問題はCVaR最小化問題に比べて、解くのが難しいことが知られている。そこで、厳密に解くのではなく、それなりによい近似解が早く得られるようなアルゴリズムを考案した。 2.昨年度まで研究対象を分類問題に限っていたが、回帰、外れ値検出に対しても同様に、VaR最小化問題が構築できることが分かった。そこで、分類だけでなく回帰、外れ値検出まで対象を広げ、VaR最小化モデルの提案を行った。 3.分類、回帰、外れ値検出を目的とした様々なモデルが提案されている。代表的なデータベース(UCI repository)を用いて数値実験による比較を行ない、理論的に期待されるような予測精度の向上を確認した。 現在は、VaR最小化モデルのためのソフトウェアの改良を行い、上記の成果を学術論文としてまとめているところである。また、他の研究成果として、SVMに対してロバスト最適化モデルという新しい解釈を与え、拡張モデルを提案した。この成果は現在、論文としてまとめ終えた段階である。
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