2009 Fiscal Year Annual Research Report
集団的意思決定問題における戦略的操作不可能性に関するゲーム理論的研究
Project/Area Number |
19710135
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
梅澤 正史 Daito Bunka University, 経営学部, 准教授 (20361305)
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Keywords | 応用数学 / モデル化 / 意思決定 / 社会選択理論 / ゲーム理論 |
Research Abstract |
当該年度は、この研究課題で最終的に解明を試みていた、複数の選択肢とそれに対して選好順序を持つ構成員からなる社会での社会的決定ルールについて研究を進めた。最大の収穫は、社会選択ルールとして、パレートルールがmax-min型協調的戦略操作不可能なものであることが示せたことである。また、max-min型協調的戦略操作不可能かつ非賦課性(non-imposition)という性質を満たす社会選択対応は、パレートルールで得られる選択肢の集合が極大なものであることが分かったことも成果のひとつである。これは、上記のような2条件を満たす社会選択ルールによって得られる決定がパレート最適性を満たす選択肢のみで構成されることを意味する。その後さらなる結果を得るために、研究実施計画に盛り込まれていたアプローチのひとつである、辞書式順序におけるmax-min型協調的戦略操作不可能性に関して調査を進めたが、この操作可能性の定義だと条件が厳しすぎて社会選択対応の存在が保証されにくいことが判明した。そこで、計算による実験も盛り込みながら、むしろ通常のmax-min型協調的戦略操作不可能性のもとで成り立つ性質を探し、いくつかの性質を見つけることができた。また、他のアプローチとして、個人の選好が単峰性を持つ場合の戦略的操作不可能な社会選択対応に関する研究を進めたが、そこでは、戦略的操作不可能性というよりは公平性に近い概念のもとで、どのような社会選択ルールが成り立つのかを調べ、限定された定義域のもとで社会選択ルールの存在を確認することができた。
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