2010 Fiscal Year Annual Research Report
産業場面における程度副詞を用いたコミュニケーションの人的特性の体系化とその応用
Project/Area Number |
19710137
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
鳥居塚 崇 日本大学, 生産工学部, 准教授 (00308587)
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Keywords | 程度副詞 / ヒューマンファクター / 協働作業 / ヒューマンエラー / 産業プラント |
Research Abstract |
本研究は,程度副詞を用いた協働作業の人的特性,すなわち微妙な加減を要する作業における人的特性を把握した上で,そのような人的特性に程度副詞がどのように影響するかを明らかにし,さらにその影響に個人差が存在すればその個人差についても検討し,程度副詞の捉え方に関わる人的特性を明らかにすることを目的とした.具体的には,いくつかの実験を通じて得られる考察や知見を基にこの種の作業の人的な特性を体系的にまとめ,過誤を発生させることなく作業を円滑に遂行させるための指針を導くことを最終的な目的とした.本年度は,昨年度までの研究の成果をまとめ,程度副詞を用いた協働作業の人的特性の体系化を行った.さらに,この種の作業を行う上で過誤を発生させることなく作業を円滑に遂行させるための指針について検討した,本年度は,実際の現場に携わっている作業者の意見を適宜採り入れることにより指針の検討を行ったが,それらに加えて,日本以外の国(欧州)においても同様の作業が問題になっているかどうか,また問題があるとすればどのような点が問題か,またそれぞれの程度副詞をどのように捉えているかについても,研究者や現場作業者を対象としたインタヴュー形式での調査を行った.その結果,欧州においても程度副詞に起因するトラブルは少なからず発生していることが明らかとなり,また,日本人と欧米人の程度副詞の捉え方の共通性と相違性が明らかとなった.これらについては本研究の当初の目的には含まれなかったが,本年度,研究者が所属機関の海外研修のため長期に亘りドイツに滞在して得られた成果であり,日本人のみならず,日本人と日本以外の文化を背景を持つ人々との協働作業を行うための指針についても検討できた.長期の海外研修のため,このような副産物が得られた半面,研究遂行上のマイナス面も生じたことは否定できない.具体的には,指針の有用性の検証実験や,本研究の成果の国内外の学会誌への投稿および国内外での学会発表ができなかった.しかしながら,発表するに足るデータや資料は十分揃っているため,平成23年度以降,今回の一連の研究で得られた成果を積極的に国内外に発表していきたい.
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